2009 Fiscal Year Annual Research Report
ラジカル散逸抑制型HABIのフォトクロミズムおよび磁気光学特性の探究
Project/Area Number |
09J08423
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
波多野 さや佳 Aoyama Gakuin University, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フォトクロミズム / HABI / [2.2]パラシクロファン / ラジカル |
Research Abstract |
T型フォトクロミック分子であるラジカル散逸抑制型HABIは、光照射によって生成するラジカルの系中への拡散が抑制された系であり、スピロオキサジンや従来のHABI誘導体と比較して熱消色反応の大幅な高速化が達成されている。このことは、ラジカル散逸抑制型HABIが、高速熱消色反応速度が要求される分野に適したフォトクロミック分子系であることを意味している。また、HABIの最大の特徴は光誘起結合解離によるラジカル生成であるがこのようなフォトクロミック分子はHABIの系だけであり、HABIのフォトクロミック反応に関して新しい知見を得ることは、今後HABIを発展させる際の重要な手がかりとなると考えられる。そこで本研究では、合理的分子設計に基づく熱消色反応のさらなる高速化を目指すとともに、幅広い応用分野への展開を追究することを目的とした。平成21年度は合理的な分子設計に基づき速度論の一つであるマーカス理論を応用し、イミダゾール環部位を含む一部にフェナントレン骨格を導入、発色体であるラジカル種のエネルギーを不安定化させることで、より迅速な熱消色反応を示すフォトクロミック化合物の創成を実現させた。また、21年度はHABIの光誘起結合解離によるラジカル生成および再結合反応に関して、有意義な知見が得られた。従来、HABIの発色体であるラジカル種はその熱消色反応過程において、イミダゾール環同士で結合を形成し消色体である元のダイマーに戻るが、今回は[2.2]パラシクロファン骨格HABIのイミダゾール環の一部にメチル基を導入することで、リンカーである[2.2]パラシクロファン骨格部位の炭素とイミダゾール環部位の窒素が結合した新規HABI誘導体pseudogem-DPIM-DPI[2.2]PC-dimerの開発に成功した。
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Research Products
(4 results)