2010 Fiscal Year Annual Research Report
放射光解析に基づく終端制御酸化物ヘテロ接合の界面エンジニアリング
Project/Area Number |
09J08463
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉松 公平 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 酸化物ヘテロ界面 / 光電子分光 / PLD法 |
Research Abstract |
ペロブスカイト酸化物La0.6Sr0.4MnO3(LSMO)は、ハーフメタルかつ室温以上の転移温度を持つことからトンネル磁気抵抗(TMR)効果の強磁性層として期待されている。しかしながら、その界面において磁気特性が劣化する"dead layer"が存在することが知られている。LSMOをTMR素子の強磁性層として実用化するためには、LSMO界面の劣化層の起源を明らかにし、抑制することが非常に重要である。 本研究では、LSMOにおける最適な界面構造の作製を目的として、Laser MBE & in situ光電子分光装置を用いて界面の組成と幾何学的構造の制御を行うことが目的である。本年度は、昨年度成功した界面の幾何学的構造を最適化するRuddlesden-Popper (RP)構造を用いて、実際に電子状態変化の観測を行った。界面での電荷移動によりLSMOの磁気特性が劣化していることが知られているLSMO/La0.6Sr0.4FeO3(LSFO)界面に数原子層のLa0.6Sr0.4O(LSO)を挟むことで界面幾何学構造を変化させた。ペロブスカイト界面ではMnO6八面体とFeO6八面体が酸素を介してつながっているが、RP型界面ではLSOブロック層により分離されている。この2つの構造に関してMn3dの電子状態を選択的に観測することが可能なMn 2p→3d共鳴光電子分光測定を行った。その結果、LSMOとLSFOの界面にLSOを2原子層挿入することでLSMOからLSFOへの電荷移動を示唆するMn 3d eg状態の減少していることが明らかになった。このことは、2原子層のLSOを挿入したLSMO/LSFO界面では電荷移動が起こっていないことを示している。以上のことから、界面電荷不整合由来のLSMOのdead layerを無くすにはLSO層により界面にRP構造を作製することが不可欠であることを明らかにした。
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Research Products
(7 results)