2009 Fiscal Year Annual Research Report
既成市街地における住民参加型開発協議の法的限界と実態について
Project/Area Number |
09J08486
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀 裕典 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科都市工学専攻, 特別研究員(DC2) (00614653)
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Keywords | 開発協議 / 住民参加 / ランドスケープ / デザインレビュー / 都市計画 / 都市デザイン / アメリカ:カナダ:オーストラリア / シアトル:デンバー:バンクーバー:トロント:アデレード |
Research Abstract |
本研究は、既成市街地における景観コントロール制度の設計に際し有用な知見を得る事を目的とし、アメリカ(シアトル市、デンバー市他)、カナダ(バンクーバー市、トロント市)、オーストラリア(アデレード市)におけるデザインレビュー制度、裁量的開発審査制度、開発協議等の運用実態に関する調査研究を行ったものである。シアトル市のデザインレビュー制度は、土地利用許可プロセスの中で市民参加が可能な公聴会を行なうことが義務づけられているため、より住民のニーズを汲んだ開発が誘導されており、開発の企画段階と詳細デザイン段階の2段階審査を行うことで開発の進捗状況に合わせた協議が行なわれている事が分かった。なお、樹木保全制度に関しては、デザインレビューと連携し、樹木を保全した場合の容積規制緩和が行われており、より個別敷地の状況に合わせた開発誘導が行われている事が分かった。また、デンバー市におけるデザインレビュー制度では、BID地区とデザイン審査を組み合わせ、市街地の活性化施策として用いられている事がわかった。バンクーバー市の裁量的開発審査制度及び容積移転制度の運用実態については、明確な容積出し地・受け地が設定され、容積移転には歴史的建築物の修復が条件となる等、実効性の高い制度設計となっている。比較的新しい建築物でもその価値を認め容積移転が承認されている一方で、急激な容積バンクの増加が課題となっていることも分かった。トロント市のデザインレビュー制度では、審査対象地区を旧合併市町村の中心市街地に設定する一方で開発圧力の高い臨海部や歴史的市街地にも設定し、地区の特性に合わせたエリア設定が行なわれている事が分かった。アデレード市における開発許可制度では、ジェネラルプランにおいて地区ごとに望ましくない開発項目/Non-Complyingを定めた上で専門家による委員会審査を行う事で、事前確定基準と裁量的項目のバランスを取っている事が分かった。
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Research Products
(19 results)