2010 Fiscal Year Annual Research Report
既成市街地における住民参加型開発協議の法的限界と実態について
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09J08486
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀 裕典 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2) (00614653)
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Keywords | 開発協議 / 市民参加 / デザインレビュー / デザイン審査 / アーバンデザイン / 都市計画 / アメリカ:カナダ / マイアミ:シンシナティ:フェニックス:トロント:サンディエゴ |
Research Abstract |
本研究は、北米諸都市を対象とし、既成市街地の景観コントロールに関する有用な知見を得る事を目的としている。本年度は、アメリカ(シアトル市、シンシナティ市、インディアナポリス市、コロンバス市、フェニックス市、サンディエゴ市、ニューヨーク市、マイアミ市他)及び、カナダ(バンクーバー市、モントリオール市、トロント市他)におけるデザインレビュー制度、裁量的開発審査制度等の運用実態に関する調査研究を行った。その結果、アメリカ中西部の都市では行政主導のデザインコントロールが行われており、市民が参加する機会は比較的少ないという事が分かった。フェニックス市においては郊外住宅地での地区アイデンティティの保全・創造に重点を置いた制度運用が行われていた。シンシナティ市においては、市が関わる開発(補助金等も含む)のみが審査対象となっており、長期にわたり同じ委員が審査委員を勤めているため、デザインに偏りが出ているという課題も明らかになった。マイアミ市の旧制度では、敷地統合規制が存在せず、多くの容積ボーナス制度があったため、日本と同じくマンション紛争が起こっているという事実が存在し、昨年、スマートコードを基にした新ゾーニングコードを導入し、多くの課題を克服すべく現在運用を行っている事が分かった。バンクーバー市の裁量的開発審査制度では、容積移転制度や住宅ボーナス制度等により、事業者の利益を確保している一方で、開発協議を通じ、市民の意見を汲みとり地区の特性に合せた開発が誘導されている事が分かった。トロント市では、オンタリオ州における行政決定権力が強いため、トロント市の決定に対して州組織に追訴が行われた場合、事業者が勝訴する場合も多くあり、地区の特性に合わない高容積の開発が許可され、マンション紛争が起こっているという事実が明らかとなった。
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Research Products
(6 results)