2010 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー分光法を用いた光化学オキシダント制御に関する反応素過程の解明
Project/Area Number |
09J08574
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
宮崎 洸治 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | HO2ラジカル / RO2フジカル / オキシダント / レーザーポンプ・プローブ / 化学増幅 / 化学変調 / レーザー誘起蛍光 |
Research Abstract |
HO2,RO2ラジカルの表面消失速度の違いを利用した選択的測定法の改良と大気測定を行った。本手法はHO2ラジカルがガラス表面における壁面消失速度がCH3O2のようなRO2ラジカルよりも速いことを利用し、選択的にHO2ラジカルを除去し、HO2,RO2のそれぞれの濃度を計測する。デニューダー内部をハニカム構造にすることにより、実大気レベルのHO2濃度であっても十分に(80%以上)分解できるようにデニューダーを改良した。製作した装置を用いて東京・八王子において大気観測を行った。2010年夏にアメリカ・コロラド州にあるマニトウ演習林において各国から研究者が集まる大規模な大気観測キャンペーン(BEACHON campaign)に参加した。前述したHO2,RO2測定装置を現地に輸送し、観測を行った。米国大気研究センター(NCAR)の研究グループも異なる手法でHO2,RO2ラジカルを計測しており、結果を比較したところ良い一致をみることができた。レーザーポンプ・プローブ法を用いてOHラジカル消失速度計測装置の改良を行った。大気試料中に高濃度のNOが含まれていると、反応管内で生成したHO2とNOの反応からOHラジカルが再生されてしまい、実際の消失速度を過小評価して計測してしまう。OHラジカルの反応相手としてCO、CH4を用いて実験を行った結果、COはNO濃度の増加とともにOHラジカル消失速度を過小評価するのに対し、CH4はNO濃度の増加とともにOHラジカル消失速度を過大評価することがわかった。これはHO2ラジカルが生成されるまでに、COとCH4で時間差があることによる。データを解析する範囲を調節することで、消失速度計測への影響を最小にできるよう最適化を行った。
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