2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J08611
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 久史 東京大学, 大学院・工学系研究科北森研究室, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 光熱変換分光法 / マイクロ流体 / ナノ流体 / 単一分子分析 |
Research Abstract |
微分干渉熱レンズ顕微鏡(DIC-TLM)を拡張ナノクロマトグラフィーに応用し、拡張ナノ流路内に非蛍光性分子の分離・検出システムを集積化することに初めて成功した。近年、分析場の微小化が進んでおり、マイクロ・ナノメートルサイズの流路を利用した高速化学プロセスや高感度分析デバイスが盛んに研究されている。当研究室ではこれまでに、10-1000nmの空間(拡張ナノ空間)に着目し、ナノ流路内の表面相互作用を用いて高速分離を実現する拡張ナノクロマトグラフィーを開発してきた。このような微小空間では、体積が小さいことから単一分子レベルの高感度な分析が求められる。また、大多数の分子は蛍光を持たないので、非蛍光性分子の分析が重要である。そのため当研究室では、熱レンズ顕微鏡(TLM)を開発し、非蛍光性分子の高感度検出を実現してきたが、TLMは原理的に数μm以下の空間では測定ができなかった。そこで、新原理に基づいてDIC-TLMを開発することにより、ナノ流路内の吸光度検出を実現して、拡張ナノクロマトグラフィーに利用可能であることを確かめた。実験として、まず石英基板上に電子線リソグラフィーとプラズマエッチングを用いて数100nmサイズの流を加工し、熱融着によってクロマトグラフィー用のチップを作製した。次に、圧力コントローラを用いてチップ内に非蛍光性の色素試料および移動相を送液し、クロマトグラムを得た。これより検出限界を算出したところ、10mM(検出体積0.25fL中の1600分子)という値が得られ、検出器として高感度であることが分かった。このように、数100nmの光路長で吸光度を高感度に検出できる分析装置はDIC-TLMの他に存在しない。また、他にも拡張ナノ空間を利用した免疫分析法と組み合わせれば、将来的にガンの診断や研究に応用可能な単一細胞分析デバイスに発展すると期待される。
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Research Products
(6 results)