2009 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物における硝酸シグナルの伝達と応答の分子機構の解析
Project/Area Number |
09J08651
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小西 美稲子 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 硝酸応答 / シロイヌナズナ / 高等植物 / 亜硝酸還元酵素 |
Research Abstract |
硝酸応答性を示す亜硝酸還元酵素遺伝子のレポーターラインを用いて、恒常的硝酸応答変異体のスクリーニングを行なった。一次選抜では、硝酸を与えないで育てた状態で、高いレポーター活性を示すもの、つまり、硝酸がない状態でも硝酸があるかのように振る舞う変異体を選抜した。異なる八つのバッチ由来のM2種子を用い、合計13233個体をスクリーニングし、150個体の候補株を得た。M3種子が得られた26系統については二次選抜を行った。その結果、18系統では、硝酸がない状態・ある状態ともに、野生型よりもレポーター活性が高くなっており、硝酸応答が亢進した変異体候補を得ることができた。 本年度はまた、亜硝酸還元酵素遺伝子プロモーター上に、硝酸応答を担うシス配列を同定した。まず、亜硝酸還元酵素遺伝子プロモーターの欠失解析を行ない、硝酸応答に必要な領域を翻訳開始点から-189から-334の領域に狭めた。その後、塩基配列の相同性検索を行い、高等植物種の亜硝酸還元酵素遺伝子プロモーター上の保存された回文配列を見出した。この配列(NRE)を4コピーつないだものを最小プロモーター:GUS上流に配置したコンストラクト(4xNRE-min-GUS)を構築してシロイヌナズナの形質転換体を作成した。GUSアセイと定量RT-PCR解析を行い、4xNRE-min-GUSが硝酸応答を示すことを明らかにした。また、NREに変異を入れた場合には、亜硝酸還元酵素遺伝子のプロモーターの硝酸応答が著しく減衰することを示した。以上のことから、この保存配列が硝酸応答を担うシス配列であることが明らかとなった。これは、硝酸応答を担うシス配列の同定に成功した実質的に最初の研究である。
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Research Products
(5 results)