2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J08747
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松井 鉄平 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 長期記憶 / fMRI / 霊長類 / 大脳ネットワーク |
Research Abstract |
本研究の目的は、認知的な意味が明確にされていない主観的想起(Retrieval Success現象)の神経基盤を、サルにおける電気生理学的記録・刺激実験を通して明らかにすることである。特に、長期記憶にとって重要な側頭葉嗅周皮質と、頭頂皮質とが作る機能的ネットワークに注目する。 本年度は、離れた脳領野の間の機能的を全脳でマッピングする手法を開発し、検討した.機能的結合を調べる方法として、(1)電気刺激と機能的磁気共鳴画像法(fMRI)の併用により被刺激部位の機能的結合を見る方法、(2)fMRIにより測定される脳自発活動の時間相関を空間的にマッピングして機能的結合を見る方法の2種類を開発し、比較した.(1)の電気刺激による機能的結合マッピングは古典的で実績のある手法である.(2)は、近年ヒトを被験者とした研究で広く用いられ始めているもので、その神経基盤については未知な部分が多いものの、機能的・解剖学的な結合関係を完全に非侵襲的にマッピング出来る手法として注目されている.本研究では、2つの機能的マッピング手法を、解剖学的な知見が豊富な一次体性感覚野において比較したところ、大脳半球内の機能的結合は(1)・(2)による結果が良く似ていることが確認された.一方で、反対側の半球への機能的結合は大きくことなり、自発活動を利用した(2)の方法でより強く検出されることが分かった.このように、2つの機能的マッピング手法を比較したことは、新しい手法を古典的な手法で確認するのみならず、古典的手法で見ていた機能的結合を解釈する材料としても重要な意義がある.以上の研究結果は国内外の学会で報告され、またCerebral Cortex誌に掲載が決定している.次年度からは、これらの機能的マッピング手法を側頭葉嗅周皮質に適用し、長期記憶を支える大脳ネットワークを調べる予定である.
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Research Products
(7 results)