2010 Fiscal Year Annual Research Report
下部マントルのレオロジー解明に向けた実験岩石学的研究
Project/Area Number |
09J08826
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
辻野 典秀 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高温高圧 / 下部マントル / 変形実験 / レオロジー / 分子動力学法 / 粒成長 |
Research Abstract |
本研究では下部マントル(>24万気圧)のレオロジー解明に向けた高圧実験を主とした研究を行う。下部マントルは主に(Mg,Fe)SiO3-ペロブスカイト(以下Pv)とフェロペリクレース((Mg,Fe)O)(以下Fp)で構成されており、二つの鉱物間の粘性差は2ケタ程度あると考えられている。しかしながら、それぞれの鉱物の粘性は実験的に確かめられていないうえに、どちらの鉱物が支配的になるかはわかっていない。また、それぞれの鉱物についても直接的に粘性は求められていない。そこで、高圧下での物性を調べるために本研究では以下の3点について実験を行った。 (1)下部マントル条件での変形実験:下部マントルのレオロジーを読み解くためには、下部マントル条件での変形実験が必須となる。そこで、前年度確立した手法を用いて、下部マントル条件でのPvの変形実験を行った。実験後の回収試料からは明らかな選択配向が観察された。 (2)分子動力学法を用いた点欠陥と転位のMgOの拡散に与える影響:下部マントルではMgに富むFpが粘性を支配する可能性がある。その際、格子拡散係数および、転位芯周りでの拡散係数は非常に重要なパラメータとなる。本研究では、点欠陥及び転位芯周りでの拡散係数の温度圧力依存性を求めた。点欠陥による拡散係数の温度圧力依存性は実験とほぼ一致する結果が得られた。また、転位芯周りでの拡散の圧力依存性は求められておらず比較はできないが、本研究結果から~17cm^3/molという非常に大きな値が得られた。 (3)放射光(Spring-8)を用いたカンラン石のその場粒成長観察実験:マントル内の粒径をも見積もるためには粒成長則を求めることは非常に重要である。特に、時間依存性を精密に求めることは非常に重要となる。そこで、本研究では高温高圧単色X線その場観察実験を行うことにより精密に粒成長則の時間依存性を求めた。
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