2009 Fiscal Year Annual Research Report
水チェレンコフ型ミューオン観測装置による超高エネルギー拡散ガンマ線の観測及び研究
Project/Area Number |
09J09437
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川田 和正 The University of Tokyo, 宇宙線研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ガンマ線 / 拡散ガンマ線 / 銀河系 / ミューオン / チェレンコフ光 / 宇宙線 / 空気シャワー / チベット |
Research Abstract |
当該研究課題では、チベット空気シャワー観測装置の地下2.5mに総面積10,000平米の"水チェレンコフ型ミューオン観測装置"を新たに設置し、超高エネルギー(VHE=Very High Energy)宇宙ガンマ線に対する感度を劇的に向上させる計画である。そして、この新しい観測装置を用いて我々の住む天の川銀河からのVHEガンマ線を、超低バックグラウンド・広視野という利点を生かし世界で初めて観測することを目指す。当該年度においては、次年度に設置予定の水チェレンコフ型ミューオン観測装置のための準備研究を主に行ったが、既存のデータ解析からの新しい発見もあった。以下に当該年度の研究成果を纏める。 1、100平米のプロトタイプの水チェレンコフ型ミューオン観測装置の詳細なデータ解析を行った。プロトタイプ観測装置にはプール内壁に2種類の防水材/反射材が採用されたが、本解析によりプール内壁に塗装される予定の防水材及び反射材の選定を行った。 2、プロトタイプ観測装置は本番の1/100スケールであるが、100倍高いエネルギーの空気シャワーを観測すれば同数のミューオンが計測されるはずである。この関係を利用し、実データからバックグラウンド宇宙線を99.9%以上の高い割合で除去できることを検証した。 3、空気シャワー観測装置の既存のデータを解析し、フェルミガンマ線観測衛星(2008年打ち上げ)の観測によって公開された天体リスト中の銀河系内天体からのVHEガンマ線源の探索を行った。その結果、フェルミガンマ線観測衛星で観測されたパルサー天体とVHEガンマ線源に強い相関を見出した。これらはパルサー天体を取り巻く星雲(パルサー風星雲)からのVHEガンマ線の放射と考えられる。これは非常にエネルギーの高い宇宙線の起源に関する示唆を与えており、本研究課題による高感度化を後押しするものである。
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Research Products
(9 results)