2010 Fiscal Year Annual Research Report
GLUT4一分子動態に基づくインスリン抵抗性の詳細な分子基盤の定量的解明
Project/Area Number |
09J09563
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
畠山 裕康 東北大学, 大学院・医工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 糖輸送体 / イメージング / インスリン |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続き、私たちの新しく開発した細胞内GLUT4-分子動態追跡系を用いて、3T3-L1脂肪細胞分化に伴って形成される特徴的なインスリン応答性GLUT4輸送システムの分子基盤と、2型糖尿病において特徴的なインスリン抵抗性との関連について詳細な解析を行った。まず、昨年度明らかにした「脂肪細胞分化に伴って形成されるSortilinによるGLUT4繋留部位への輸送過程」について詳細に解析した結果、この過程には一般的な細胞内輸送機構を調節する各種タンパク質群との協調作用が関与することを明らかにした。また、重要なインスリン作用の一つである「GLUT4の繋留部位からの解放過程」には、やはり脂肪細胞分化に伴って発現の増加するタンパク質AS160が関与することを見出した。すなわち、3T3-L1脂肪細胞分化に伴って形成される特徴的なインスリン応答性GLUT4輸送過程を「システム」として解明することに成功した。また、このSortilinに依存的なGLUT4輸送システムの破綻とインスリン抵抗性との関連を見出し、インスリン抵抗性が「インスリンシグナル伝達の減弱」のみならず「GLUT4輸送過程の障害」によっても引き起こされるという新たな概念を示唆する知見を得た。さらに、研究実施計画に記した光を用いた細胞内環境操作系とGLUT4-分子動態追跡系との組み合わせも完了し、現在この手法も用いることによってさらに詳細な解析が進行中である。
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Research Products
(7 results)