2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J09617
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
安井 隆雄 Nagoya University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ナノピラーチップ / ナノ界面評価法 / 電気浸透流 |
Research Abstract |
本年度は、これまでに申請者が開発してきたナノピラーチップを用いて、ナノ界面の定量的な評価法の開発を行った。定量的なナノ界面評価法には、電気浸透流移動度の測定を用いた。今回用いたナノピラーチップは石英製であるために、pH=8程度の緩衝溶液を導入すると、ナノピラーの表面に負電荷が生じる。その負電荷を打ち消けすために緩衝溶液中の正電荷がナノピラー近傍に集まり、電気二重層が形成される。この緩衝溶液を導入することで形成された電気二重層に電場を印加すると、電場方向への電荷の移動が発生し、電気浸透流が発生する。ナノピラーを内部に含むマイクロチャネルの電気浸透流移動度を計測した結果、ナノピラーがないマイクロチャネルにおける電気浸透流移動度よりも、1桁も値が小さいことが明らかになった。ナノピラーチップの電気浸透流移動度が大幅に抑制されている原因を明らかにするために、配列の異なるナノピラーチップ、様々なナノピラー間隔を持つナノピラーチップを作製した。上記作製したナノピラーチップを用いて実験を行った結果、ナノピラーの配列は電気浸透流移動度に全く影響を及ぼしておらず、ナノピラーの間隔が狭くなるにつれて、電気浸透流移動度の値が小さくなることが明らかになった。従来までに提案されていた電気浸透流移動度の式に、ナノピラーの本数という概念を組み込み、その式より、ナノピラーの本数が電気浸透流移動度の抑制に関与していたことが明らかとなった。上記結果は、マイクロチャネル内部にナノ構造体を有する場合、電気浸透流移動度は構造体の表面積に応じて抑制されることを示しており、効率的な電気泳動分離を行うデバイスの開発に貢献すると考えられる。また、本研究結果はナノ構造体の数(表面積)が電気浸透流に及ぼす影響を定量的に調べた世界初の結果であり、ナノ構造体を有する分離流路の設計指針となると考えられる。
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Research Products
(12 results)