2009 Fiscal Year Annual Research Report
不斉4置換炭素構築型ニトロアルドール反応の開発及びリレンザ誘導体群構築への応用
Project/Area Number |
09J10125
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
二田原 達也 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 不斉触媒 / ニトロアルドール / ニトロマンニッヒ / アミド配位子 / 希土類金属 |
Research Abstract |
私は今年度、anti選択的触媒的不斉ニトロアルドール反応の触媒構造の解明、及びanti選択的触媒的不斉ニトロマンニッヒ反応の開発に着手した。ニトロアルドール反応では、ネオジム(Nd)と新規に開発されたアミド型配位子、ナトリウム(Na)を1/2/2の比率で混合することで得られる触媒が不均一系を形成し、それを遠心分離して得た沈殿に触媒活性種が存在することが実験事実から示唆されたため、原子発光分析を用いてその組成分析を行った。その結果、Nd/配位子/Naが1/1/2の比率で含まれることが明らかとなった。このことは、Ndがルイス酸として働き配位子とNaがブレンステッド塩基として働くことで、当初予想した異種二核金属触媒が構築されていることを示している。また、NdとNaが配位子を介して架橋された、ポリメタリックな錯体構造をとり不均一系を形成していることが示され、錯体化学の面でも興味深い発見となった。反応基質は、脂肪族及び芳香族アルデヒド、種々のニトロアルカンが適用可能で、高い立体選択性にて進行することが明らかとなった。また、本反応は平衡反応であり、低温化で抑えられている逆反応が0度では容易に進行してしまうことも確認された。続いてこの触媒を、1,2-ジアミン合成を容易に行えるニトロマンニッヒ反応の開発へと応用させるべく検討を行ったが、ほとんど反応は進行せず、アルデヒドとイミンの金属に対する親和性の違いが大きく影響した。そこで、他の希土類金属イッテルビウム(Yb)と、Naより強いブレンステッド塩基性を有するカリウム(K)を用いることで、anti選択的触媒的不斉ニトロマンニッヒ反応の開発に成功した。
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