2011 Fiscal Year Annual Research Report
不斉4置換炭素構築型ニトロアルドール反応の開発及びリレンザ誘導体群構築への応用
Project/Area Number |
09J10125
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
二田原 達也 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Henry反応 / ニトロアルドール反応 / 不斉合成 / リレンザ / ザナミビル |
Research Abstract |
過去の研究により、anti選択的触媒的不斉ニトロアルドール反応用触媒の開発及び、anti選択的触媒的不斉ニトロマンニッヒ型反応へ応用することに成功した。近年世界的規模で大流行が危惧されている鳥・新型インフルエンザに対し、タミフルと異なりリレンザにおいては耐性ウイルスの報告はない。一方で、リレンザが注目を集めてこなかった理由は、消化管吸収率が低く服用法が手軽ではないためである。そこで私は、先の触媒的不斉ニトロアルドール反応を用い、フレキシブルな誘導体合成を可能とするリレンザの触媒的不斉合成ルート確立に取り組むこととした。昨年度は、リレンザの環状エーテル部位をPrins-Ritter反応により構築できるものとし、生じるアリルアルコール類縁体側鎖のトリオール部位は対応する末端アリルアルコールのSharpless不斉エポキシ化とエポキシ開環反応により構築出来ると考え、中間体の合成に取り組んだが、鍵反応である環化が全く進行しないことが分かった。そこで、本年度は逆合成を再考し、環化の過程を水酸基のαケトエステルの巻き込みに依るヘミケタール形成にて行うこととした。反応は望み通り進行し、残すはアリル位の酸化反応だけであった。この酸化反応は、アリル位の電子的要因により通常のセレン酸化等では進行しなかったが、銅を用いるラジカル酸化反応条件に伏すことにより、酸化段階を上昇させることに成功した。続く酸処理により既知中間体である、オキサゾリン体へと導き、既知法に則ってザナミビルの合成を達成した。本手法を用いることにより、側鎖の異なる様々なザナミビル誘導体を合成することが可能となり、薬剤耐性インフルエンザウィルスに対抗する新薬の創成が期待される。
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