2009 Fiscal Year Annual Research Report
次世代音響設計のための大規模有限要素数値解析技術の確立
Project/Area Number |
09J10367
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
奥園 健 Oita University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 建築環境・設備 / 建築音響 / シミュレーション |
Research Abstract |
容積40,000m^3の建築空間の4kHz周波数領域までの精密な音場予測を実用時間内に可能とする時間領域有限要素解析手法の開発を目的とし、平成21年度は以下を実施した。 1効率的な時間領域有限要素解析手法の開発:時間領域有限要素法(TDFEM)の計算の高速化を図るため、時間方向の離散化に用いるNewmark法のパラメータβと精度・計算効率の関係について検討した。その結果、β=1/12としたFox Goodwin法、β=1/6とした線形加速度法、β=1/4とした平均加速度法の順に少ない時間ステップ数で精度の良い解析が可能であることを示した。また、時間領域差分法(FDTD法)との精度・計算効率に関する比較から、Fox Goodwin法によれば、FDTD法の9%の計算時間で同等の精度の解析が実施できることを示し、本研究で開発したTDFEMによる音場予測手法が従来法に比べ高効率であることを示した。 2室形状モデリングの煩雑性の克服と各種吸音モデリングの構築:室内音場の厳密な予測を可能とするため、音場と境界面の振動の相互作用を考慮したTDFEMに基づく音響振動連成解析手法の開発を行い、計算効率や精度に関して周波数領域有限要素解析と比較した。結果として、TDFEMに適用した反復法の収束性は、FDFEMに比べ良好であることを確認し、周波数領域有限要素法では反復法の収束性が悪化する音場に対して開発手法が有効である可能性を示した。 3最先端の音響シミュレーションによる実在建築音場の予測精度の明確化:TDFEMによる音場予測手法の精度と信頼性を明らかにするため、簡明な境界条件を有する実在の不整形残響室を対象に解析値と実測値の比較を行った。インパルス応答の予測に関して、初期の時間領域において、低周波数ほど解析値と実測値が良好に一致することを示した。
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