2010 Fiscal Year Annual Research Report
慢性骨髄増殖性疾患の分子機構および白血病急性転化機序の解明
Project/Area Number |
09J10490
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
幣 光太郎 宮崎大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 慢性骨髄増殖性疾患 / 原発性骨髄線維症 / JAK2 |
Research Abstract |
ヒトPMFは,発症早期の著明な骨髄線維化,多臓器での髄外造血と巨大脾腫,体重減少と貧血などを呈し,死亡率が高い.真性多血症(PV),本態性血小板増多症(ET)は類縁疾患であるが,前述のような特徴は認めず予後もよい.つまりJAK2V617Fという同一の遺伝子変異を持つにもかかわらず,PMFとPV,ETの間には病態に明らかな差異が存在する. 本研究では,研究者らが作成したモデルマウスにヒトPMFとPV.ETとの間で観察される病態の差異が忠実に再現されていることに着目し,モデルマウスの病態差異の分子機構を解析した.野生型マウス,PMFの病態を呈するJAK2V617Fトランスジェニックマウス(TG)系統2マウス,PV,ETの病態を呈するTG系統1マウスの3群の造血幹細胞を純化し,その遺伝子発現パターンの差異をマイクロアレイによって比較した.その結果PMFの病態を呈する系統2マウスに特異的に変動している遺伝子群を同定した.抽出された複数の転写因子についてin vitro, in vivoの機能解析を行いPMF病態との関わりについて検討中である. 原発性骨髄線維症に対する新規治療法として現時点で最も有望であるJAK2阻害剤について、その前臨床研究を行った.ns018はin vitroでJAK2に対して強力で選択性の高い抑制効果を示す新規JAK2阻害剤である.ヒトPMF類似の病態を呈するTGを用いてその治療効果を検討した.ns018はJAK2-V617F変異に起因するマウスPMFの血球増多,髄外造血といった病態を改善し,ヒトPMFに対するJAK2阻害剤として期待される薬剤であることが示された.
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