2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J10517
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
伊藤 浩史 お茶の水女子大学, お茶大アカデミック・プロダクション, 特別研究員PD
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Keywords | シアノバクテリア / 概日リズム / ノイズ |
Research Abstract |
シアノバクテリア細胞集団の概日リズムの観察を通して光によって細胞の位相を制御する試みを行った。ノイズ刺激や、極めて振幅の小さな光の変動によって概日リズムの位相がどのように応答するかを調べた。 この研究を実行する上で最大の課題になるのが、細胞のリズムの長期間の計測であった。昨年までにフローモニターと呼ぶ流路内のバクテリアの生物発光から概日リズムを測定する装置を開発した。しかしこの装置では流路を細胞がふさいでしまい計測に支障がでることが多かった。そこで装置の見直しを行い3週間ほどの細胞のリズムの計測に成功した。また光量とリズムの関係も検討を行った。本研究ではLED照明を用いているが、他研究室では蛍光灯を使用していた。リズムの振る舞いの上で両者の結果に齟齬があるかを調べ、LEDの光量の適切量の検討を行った。その結果、20度という低温では蛍光灯使用時にはこれまで減衰振動が見られると報告されていたが、LEDを使った場合同じ照度(lux)でも減衰振動が見られないことがわかった。 また本実験設備を用いて低温と概日リズムの関係が簡便に調査できる。低温下ではHopf分岐というプロセスを通じて概日リズムが消失することがわかった。Hopf分岐とは振幅が減少し、周期は変化のないプロセスを指す。周期の温度依存性は、温度補償性と概日リズムの分野では呼ばれ重要な問題である。この問題の解決に役立つ知見である可能性がある。またHopf分岐はシアノバクテリアのみならず、種間で保存されている性質であることが期待される。これらの結果を論文にまとめ近日中に報告する予定である。
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