2011 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質間相互作用阻害剤の革新的評価法の開発と大規模スクリーニングへの展開
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09J10632
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川口 充康 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Autotaxin / スクリーニング / 蛍光プローブ / 阻害剤 |
Research Abstract |
私は昨年度より引き続き申請した研究題目とは異なる内容で研究を行っているが、大規模なスクリーニングを行い、実用的な阻害剤を得るという本質的な目的に変わりはない。 昨年度までに、Autotaxin(ATX)の阻害剤を得る目的で8万サンプルを用いた大規模なスクリーニングを行い、さらに構造活性相関を検討することにより非常に強い阻害活性を持つ阻害剤の開発に成功した。ATXはがんの血管新生に関わっていることが報告されているなど非常に創薬のターゲットとして興味深い。本年度は主にスクリーニングの中で得られた別のヒット化合物に着目し構造展開を行った。本化合物はX線結晶構造解析の知見より疎水性ポケットへの結合能、さらに活性中心にあるZn^<2+>に対する結合能に関して改善の余地があると考えられた。実際、合成を行い阻害活性の検討を行うとX線結晶構造解析から予測された通り、疎水性ポケットを埋めることおよびZn^<2+>に対するキレーターを導入することで阻害活性の改善が見られた。最適化された阻害剤は報告されているATX阻害剤と比較してもex vivoにおけるATXの阻害活性、およびがん細胞の遊走活性をより強く抑制することが示され、更には動態面においても優位性を持っている可能性が示唆された。現在は、神経障害性疼痛モデルマウスを用いた検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究の目的通り、研究を遂行した。疼痛モデルマウスを用いた検討においてもNPP2阻害剤の連続投与により疼痛の改善が見られた。また、当初の骨格とは全く異なる構造を有する阻害剤の構造展開も同時に行い更に有用な阻害剤の創製にも成功している。これらの成果は概ね、研究計画通りであると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
NPP2阻害剤を治療薬へと押し上げると研究計画には記載していたが、そのハードルは予想通りであるが遥かに高い。これらは、大学などの基礎研究の機関のみで達成可能とは考えられず、製薬会社との共同研究が必須であると考えられる。そのためには製薬会社に興味を持たせるに足る治療薬候補化合物を得ることが必要であり、今後益々検討を進めていくことが求められる。
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[Journal Article] Fluorescence Probe for Lysophospholipase C/NPP6 Activity and a Potent NPP6 Inhibitor2011
Author(s)
Mitsuyasu Kawaguchi, Takayoshi Okabe, Shinichi, Okudaira, Kenjiro Hanaoka, Yuuta Fujikawa, Takuya Terai, Toru Komatsu, Hirotatsu Kojima, Junken Aoki, Tetsuo Nagano
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Journal Title
Journal of the American Chemical Society
Volume: 133
Pages: 12021-12030
DOI
Peer Reviewed
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