2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J10695
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安保 真裕 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 蛍光プローブ / 活性酸素種 |
Research Abstract |
私は本年度、生体内での重要な酸化活性分子である過酸化水素に対する蛍光プローブの開発研究を行った。過酸化水素は生体内において、生体分子の酸化反応を介するシグナル伝達に関与することが知られており、これを生きた細胞の中で捉えることはレドックスシグナル伝達系の解明のための強力な手法となり得る。私は、過酸化水素に対するプローブのデザインとして、反応部位にBenzil構造を用い、分子内光誘起電子移動(Photoinduced electron Transfer, PeT)による蛍光制御を利用することとした。この考えに基づき、蛍光色素であるfluoresceinとBenzilを結合させた5-Benzoylcarbonylfluorescein誘導体の合成を行った。そのうち、Benzil構造上にシアノ基をもつ誘導体が過酸化水素と良好な反応速度で反応し、さまざまな活性酸素種の中でも過酸化水素を含むヒドロペルオキシド類に選択性を示すことを見出していた。しかしながら改善の余地として、反応速度がまだ遅いことや、バックグラウンド蛍光がやや高いことがあった。 この点を改善するために私は、光誘起電子移動過程に関する知見より、Bonzil構造にニトロ基を導入することによって蛍光消光過程の最適化が達成されるものと予想した。そこで、ニトロ誘導体の合成を行い、その特性について精査した。その結果、ニトロ誘導体は、バックグラウンド蛍光がシアノ誘導体の10分の1以下に減少しており、これを用いることで高いS/N比での過酸化水素の検出が可能になると期待された。また、反応速度についてもシアノ誘導体を上回っており、この点でも好ましい性質を有していることが明らかとなった。本プローブを用いることで、検出感度の向上が期待できる。
|
Research Products
(2 results)