2009 Fiscal Year Annual Research Report
TRPV1とTRPA1の相互作用による侵害刺激受容の分子機構の解明
Project/Area Number |
09J40051
|
Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
小松 朋子 National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities, 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 特別研究員(RPD)
|
Keywords | TRPチャネル / 相互作用 / 感覚神経 / 刺激受容 |
Research Abstract |
TRPは、6回膜貫通領域を有する非選択性陽イオンチャネルである。その中で、カプサイシン、熱刺激や酸刺激により活性化するTRPV1と、冷刺激やワサビ・シナモンの辛味成分により活性化するTRPA1は、侵害刺激および温度の受容体として重要な役割を果たしている。本研究では、両者が共発現する感覚神経細胞があることに着目し、両者の機能的な連関による侵害刺激受容のメカニズムがあるという新規の仮説を検証することを目的とする。培養細胞にTRPV1のみ、TRPA1のみ、あるいは両受容体を発現させた異所性発現系にパッチクランプ法を適用して、電気生理学的機能を解析した。その結果、TRPA1リガンドであるアリルイソチオシアネートを適用すると、TRPA1のみ発現する場合よりTRPA1とTRPV1の両受容体を発現する場合に大きい活性化電流が認められた。一方、TRPV1リガンドによる活性化はTRPV1の存在により影響されなかった。感覚神経では、TRPA1発現細胞はほぼすべてTRPV1を発現していることが報告されており、上記の結果はTRPA1機能にTRPV1の存在が必要であることを示唆するものである。TRPV1とTRPA1の物理的な結合を免疫沈降法により検討したが、両者の結合は認められなかった。今後、電気生理学的解析で得られたTRPV1によるTRPA1機能の増強メカニズムについて、マウス感覚神経細胞の電気生理学的解析やマウス個体を用いた痛み関連行動解析も含めて解析する。
|