2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト15番染色体移入による自閉症モデルマウスの作製
Project/Area Number |
09J40165
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
堀家 牧子 Kanazawa University, 学際科学実験センター, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 自閉症 / トランスクロモソミックマウス / 染色体移入法 / 染色体ペアリング |
Research Abstract |
本申請課題の目的は、自閉症において最も頻回に認められる染色体異常である『母方15番染色体長腕領域の重複』をin vivoおよびin vitroモデルで再現し、過剰染色体が遺伝子発現にいかに影響を与えるかを解析することにある。 1)ヒト15番染色体を保持したトランスクロモソミックマス(TCマウス)の作製 まず,ヒト15番染色1本を微小核融合法を用いマウスES細胞への移入を試みた。しかし,インタクトの15番染色体はマウスES細胞に移入することが出来なかった。そこで,UBE3A遺伝子の3'領域とテロメア配列をつないだテロメアトランケーションベクターを作製し,テロメアトランケーション法によりヒト15番染色体長腕をおよそ25Mbまで短くした。続いて,この短くしたヒト15番染色体を,マウスES細胞に移入したところ,ヒト15番染色体を独立に保持するクローンを得ることが出来た。集合キメラ法によりキメラマウスを作出し,キメラマウスをC57/BL6マウスと交配,ヒト15番染色体を保持したF1マウスを得た。 2)ヒト神経系細胞株へのヒト15番染色体移入 微小核細胞融合法を用い,母方のヒト15番染色体1本をヒト神経系細胞株SH-SH5Yに移入した。定量PCR法により15q11-q13領域の遺伝子発現を解析した結果,ヒト15番染色体1本を過剰に保持しているにもかかわらず,SNRPN,GABRB3,CHRNA7の発現低下を認めた。GABRB3領域においては,相同染色体のペアリングが高頻度に認められ,それが遺伝子発現制御に重要であるとの報告があるため,母方のヒト15番染色体1本を移入したSH-SH5Y細胞を用い,GABRB3領域の相同染色体のペアリングをFISH法により解析した。その結果,樹立した細胞ではGABRB3領域の相同染色体のペアリングの頻度が著しく低下していることが分かった。
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Research Products
(4 results)