2009 Fiscal Year Annual Research Report
オオヒメグモ胚の左右相称性確立におけるシグナル系のクロストーク
Project/Area Number |
09J40173
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Research Institution | JT Biohistory Research Hall |
Principal Investigator |
小田 康子 (秋山 康子) JT Biohistory Research Hall, 研究部門, 特別研究員RPD
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Keywords | シグナル伝達 / 体軸形成 / パターン形成 / RNAi / クモ / 細胞移動 |
Research Abstract |
これまでの研究で、オオヒメグモ胚の初期のパターン形成にはシグナル分子など細胞外ではたらく分子が大きな役割を果たすことを明らかにしてきた。その中でも最近の解析では、前後軸形成のネットワークの中でHedgehogシグナルがかなり上流に位置すること、そして背側を誘導する細胞集団の移動開始にHedgehogの受容体であるPatchedが関与していることを示すデータを得ていた。本研究ではクモ胚の体軸形成の際にHedgehogシグナルを含む複数のシグナル系がどのように関わり合い、初期胚にパターンを築くのかを明らかにすることを目指している。今年度はそのために、Hedgehogシグナル系の構成因子をコードするsmo,ci,su(fu)遺伝子のparental RNAiの手法による機能解析、抗体の作製、局所的ノックダウン・クローンの作製法の開発を行った。smoのRNAiではhhのときと同様に頭部を欠損する表現型が得られた。また背側を誘導する細胞の移動にも異常が現れることも分かった。この結果を合わせてHedgehogシグナルにより形成される前後のパターンと背側を誘導する細胞集団の移動の関係性を示すモデルを考え、論文にまとめることができた。ciやsu(fu)のRNAiでもやはり前後軸のパターンに異常が現れることが分かったが、さらにDppシグナルが重要な役割を果たす背腹軸のパターン形成にも影響が出ることを示唆するデータを得ている。この結果を発展させて2つのシグナル系の関わり合いを解析したいと考えている。さらに、卵割中の1つの割球に2本鎖RNAを注入することで胚にノックダウン・クローンを作製することに成功した。この方法は今後の解析の強力なツールになると考えている。
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