2010 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスによる認知症発症メカニズムの解明と食品による予防
Project/Area Number |
09J40182
|
Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
永井 雅代 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 加齢健康脳科学研究部, 特別研究員(RPD)
|
Keywords | 栄養学 / 神経変性疾患 / 脂質過酸化 / タンパク質凝集 |
Research Abstract |
本研究は神経変性疾患の共通の病理学的特徴である、タンパク質の異常凝集体の形成に酸化ストレス、特に脂質過酸化反応が関与して神経細胞死を引きおこしていることを明らかにし、脂質過酸化反応を食品成分により抑制することで神経変性疾患の発症を予防するための基盤データを得ることを目的としている。アルツハイマー病およびパーキンソン病の凝集体の主要構成タンパク質であるβ-アミロイドまたはα-シヌクレイン(Syn)に対し、ω-3不飽和脂肪酸のドコサヘキサエン酸(DHA)は、in vitroにおいてタンパク質の重合化反応を促進し、凝集体を形成、この凝集体構成タンパク質にはDHA酸化物(PRL)による修飾が生じていることをこれまでに明らかにしている。DHAは神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞に対して濃度依存的に毒性を示し、細胞内活性酸素種の産生増加を増加させた。DHAを添加した細胞内のPRL修飾タンパク質をELISA法により測定したところ、ミトコンドリア、核・膜画分でDHA濃度依存的にPRL修飾タンパク質が顕著に増加していた。さらに、α-シヌクレイン遺伝子を導入したSH-SY5Y(Syn-SH)細胞もDHAの濃度依存的に毒性を示し、PRL修飾タンパク質がミトコンドリア、核・膜画分で増加することも明らかにした。蛍光免疫染色法による観察から、DHAを添加したSyn-SH細胞の細胞内にはSynタンパク質の増加と凝集体の形成が促進されていた、一部の凝集体は抗PRL抗体に陽性であったため、DHAによる酸化ストレスの亢進がSyn凝集体形成の原因になることが示唆された。今後、Syn-SH細胞にDHAとともに食品成分を添加することでDHAによるタンパク質凝集および細胞内の脂質過酸化が抑制されるかどうか検討する予定である。
|
Research Products
(3 results)