1998 Fiscal Year Annual Research Report
東北アジアにおける移民・移民労働者(外国人)のための教育活動にかんする実態調査
Project/Area Number |
10041033
|
Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
|
Section | Field Research |
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
笹川 孝一 法政大学, 文学部, 教授 (70178630)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長澤 成次 千葉大学, 教育学部, 助教授 (50172523)
黄 富順 台湾, 嘉義師範大学, 学長
南 相瓔 金沢大学, 経済学部, 助教授 (50242540)
金 信一 韓国ソウル大学, 師範大学(教育学部), 教授
|
Keywords | 外国人 / 学習権 / 日本語教育 / 多文化教育 / 職業再訓練 / 文化摩擦・文化融合 / 移民・移民労働者 / 生涯学習 |
Research Abstract |
韓国では、1994-95年段階に比べて、実際の支援状態、社会的世論、研究等の点で大きな展開があった。これには香港に拠点を持つ「アジア移民センター」のようなキリスト教ネットワークをはじめとする内的な動きのほかに、日本の状態からの影響と、金大中大統領の開放政策によるナショナリズムの弾力化の影響が見られる。 日本では地域ベースの日本語ボランティア教室の増加のほか、ネットワークの強化による質的向上が見られ、学校での対応も移民の母語対応をのぞいて進みつつある。これには各政党が永住権を持つ外国籍住民の地方参政権に関する法案を提出したことや金大統領・小渕首相の合意の影響が大きい。 台湾では林寄清江教育部長らによる「学習権」「終身学習」政策が出、カトリック教会や一部の労組による支援に加えて、一部研究者が関心を持ち始めているが、労働部系の文化施設以外では、「九族」=マレー系先住民への対応の範囲にとどまっている。 香港では、香港市民を親とする中国人の香港居住権を認める最終法院判決が出たが、実際の受け入れ計画は未定であり、教育・職業訓練面での対応は従来のままである。フィリピン系家庭内労働者の自助活動は拡充し、インドネシア人、タイ人の学習機会支援も活発になっている。マカオでは中国からの密入国移民が性産業で働き収監されるケースが増え、刑務所内での教育活動が重視されている。 シンガポールでは、多民族政策がとられ「移民適応プログラム」が用意されているが、移民労働者対応は基本的になされていないので、課題となっている。 総じてこれらを「国民教育」とその発展的解消の文脈に位置づける討論が求められている。
|