1998 Fiscal Year Annual Research Report
アジア諸地域における伝統文化の変容とそのダイナミズム-ラオス・ベトナムの口承伝承を中心に-
Project/Area Number |
10041038
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Section | Field Research |
Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
藤井 知昭 中部大学, 中部高等学術研究所・教授, 副所長 (70044740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嘉原 優子 中部大学, 人文学部, 講師
福岡 正太 国立民族学博物館, 博物館民族学研究部, 助手 (70270494)
鈴木 道子 中京大学, 社会学部, 教授 (80154590)
高橋 昭弘 中京女子大学, 家政学部, 教授 (10097660)
樋口 昭 埼玉大学, 教育学部, 教授 (60015287)
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Keywords | カップ / ラム / ラム・クー・ラム・コーン / 地域民謡 / サヴァンナケート / ポップス / チャウ・バン |
Research Abstract |
1. ラオスに関しては、全般的諸民族の音楽文化調査・研究は大きく進展したか、その中でも伝統的な歌謡形式である「カップ」「ラム」にしぼり、「ラム」についてまとめの段階の調査を行った。 1) 今年度までの調査により、ラオスにおける支配的文化の担い手であるラオ族の歌謡についてほぼ全容の把握が可能な段階に至ったといえる。また、少数民族の調査も進展し、ラオス民族文化研究所との共同研究・調査も具体的に成果を蓄積してきた。ラオス音楽に関する調査研究が世界的に見ても希少な現状では画期的な成果を期待できるものと自負している。 2) 男女掛け合いの伝統的歌唱形式の代表とされる「ラム・クー・ラム・コーン」については、実際に歌われた歌詞の翻訳作業を更に進展させ、掛け合いによる言葉の展開を研究するための重要な資料を蓄積した。 3) 地域的なラム(カップ)については、、今年度新たにヴィエンチャン県ナサイト村、サヴァンナケート県サヴァンナケート市およびチャンポン付における現地調査・録音を実施し、前年度までに未収録であった部分も含め、中部・南部の代表的なラム(カップ)については全種類を収録することが出来た。 4) ヴィエンチャン市を中心とする都市を軸にした新しいポップス系のラムについても引き続き調査を継続し、更に新たな録音資料を蓄積した。 2. ヴェトナム今年度はラオス調査にウェイトをおいたためヴェトナムの調査は限定されたが、少数民族音楽と伝統的諸芸能の調査を継続し、今回はとくに伝統的憑依儀礼であるチャウ・バンにしぼり、伝承者を確認するとともに、面談を通して現況を詳しく把握することが出来た。
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[Publications] 藤井知昭: "ワールドミュージックの形成-アジア音楽の変容" 音と映像による新世界民族音楽大系解説書. I. 8-11 (1995)
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[Publications] 高橋昭弘: "思いのたけを歌にたくして" 音のフィールドワーク. 264-283 (1996)
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[Publications] 高橋昭弘: "東南アジア編:ラオス民族楽器アンサンブル他" 音と映像による新世界民族音楽大系解説書. I. 215-220 (1995)
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[Publications] 鈴木道子: "舞踊人類学の視点から" 音のフィールドワーク. 376-389 (1996)
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[Publications] 樋口昭: "歌はヒマラヤの風にのって" 音のフィールドワーク. 302-315 (1996)
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[Publications] 嘉原優子: "神の訪れを告げる音" 音のフィールドワーク. 194-210 (1996)
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[Publications] 藤井知昭(監修): "天地楽舞-音と映像による中国55少数民族民間伝統芸能大系第II期" 日本ビクター, 1997 (全18巻
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[Publications] 藤井知昭(編著): "アジア諸民族音楽文化のダイナミズム-伝統と変容" 国立民族学博物館, 345 (1996)