1998 Fiscal Year Annual Research Report
海外の博物館・美術館における日本展示の基礎的研究-日本は如何に展示されてきたか-
Project/Area Number |
10041053
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Section | Field Research |
Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
栗田 靖之 国立民族学博物館, 博物館民族学研究部・情報管理施設・教授施設長 (50111084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 憲司 国立民族学博物館, 博物館民族研究部, 助教授 (10192808)
木下 直之 東京大学, 総合研究博物館, 助教授 (30292858)
近藤 雅樹 民族学研究開発センター, 教授 (40225628)
立平 進 水産大学校, 水産情報経営学科, 助教授
端 信行 国立民族学博物館, 先端民族学研究部, 部長,教授 (90044742)
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Keywords | 博物館 / 美術館 / 表象 / 日本文化 / 展示 |
Research Abstract |
本研究は、海外の博物館・美術館において「異文化」としての日本がいかに表現されてきたかを検証しなおすことを目的としている。3年計画の初年度にあたる今年度は、ヨーロッパ、北アメリカ、東アジア、オセアニア地域を対象として、各地博物館・美術館における日本展示の内容、コレクションの成立過程、対象地域における日本イメージと当該日本展示の相関性等について調査をおこなった。 これら一連の調査から、日本展示には、以下の3つの類型の存在することが浮かび上がってきた。すなわち、 1) 「異文化」としての日本を展示するもの(欧米の日本展示に顕著にみられる) 2) 歴史的文脈のなかでの日本を展示するもの (東アジアにおける日本と当該国との戦争等、歴史的関係に焦点をあてたもの) 3) 政治的文脈のなかでの日本を展示するもの (日系人社会など、マイノリティとしての日本を展示するもの) の3類型である。たとえば、「異文化」としての日本展示は、根付け、鍔、浮世絵に代表されるなど、それぞれの類型には、かなり共通した表象の特徴がみられるが、そのなかで、既成のステレオタイプの表現から脱皮しようとする、積極的な試みもいくつか見いだされた。風呂の文化を通じて、日本の清浄観からレジャー観までを統一的に紹介したベルリン・ダーレム東アジア館や、日本の美術館との共同により、日本の近代をテーマとする「モダン・ボーイ、モダン・ガール」展を実現させたオーストラリア・ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館などが、その例である。 諸類型の詳細な検討とともに、そうした既成の類型を脱しようとする新たな試みの評価は、今後とも本プロジェクトの中心課題になると思われる。
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Research Products
(30 results)
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[Publications] 栗田 晴之: "変貌する博物館" あうろーら. 12号. 71-77 (1998)
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[Publications] 栗田 晴之ほか: "携帯情報端末による新しい展示手法" 人文学と情報処理. 17号. 42-48 (1998)
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[Publications] 端 信行: "産業社会の成熟と文化概念の拡大" NIRA政策研究 文化政策への提言-アートマネジメントの新たな展開. 11巻5号. 28-31 (1998)
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[Publications] 端 信行: "文化施設の活性化とアートマネジメント" NIRA政策研究 文化政策への提言-アートマネジメントの新たな展開. 11巻5号. 32-33 (1998)
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[Publications] 立平 進: "自然に生きる民俗食" 歴史九州. 91号. 2-11 (1998)
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[Publications] 立平 進: "民具研究考1 民具学会発表会の頃" 歴史九州. 93号. 20-21 (1998)
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[Publications] 近藤 雅樹: "博物館はどこへ・・・" 月刊みんぱく. 22巻10号. 15-17 (1998)
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[Publications] 近藤 雅樹: "日本人の発想の豊かさについて" 李刊仏教. 46号. 132-139 (1999)
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[Publications] 近藤 雅樹: "移動博物館について" 民博通信. 84号. 4-19 (1999)
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[Publications] 木下 直之: "肖像となって東大に魂魄とどまる博士たち" 芸術新潮. 49巻11号. 74-79 (1998)
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[Publications] 吉田 憲司: "フィールド・ワークとしての展示-特別展「異文化へのまなざし」の記録・抄-(上)" 民博通信. 82号. 36-60 (1998)
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[Publications] 吉田 憲司: "フィールド・ワークとしての展示-特別展「異文化へのまなざし」の記録・抄-(下)" 民博通信. 83号. 44-67 (1999)
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[Publications] YOSHIDA,K.: "Exhibiting“Images of Other Cultures": An Exhibition as Anthropological Fieldwork on Your Own Culture" Senri Ethnological Studies. (印刷中).
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[Publications] YOSHIDA,K.: "The Tokyo National Museum and the National Museum of Ethnology: Museum Collections in Modern Japan" Senri Ethnological Studies. (印刷中).
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[Publications] 岸上 伸啓: "銭亀沢地区の社会組織" 函館市史編纂室『函館市史別冊銭亀沢編』. 267-290 (1998)
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[Publications] 岸田 伸啓: "世界システムの中のカナダ・イヌイット" 煎本孝編『周極地域諸文化の比較研究』. 38-48 (1998)
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[Publications] SONODA,N.: "Formation des conservateurs et des restaurateurs de nvieau universitaire au Japon" Conservation-Restauration des biens culturels. No.12. 45-51 (1998)
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[Publications] SONODA,N.et al.: "Caracterisation des materiaux d'art contemporain-liants et pigments syntnetiques-" Abstracts of the International Congress on Contribution of Chemistry to the Works of Art. 203 (1998)
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[Publications] 笹原 亮二: "民芸" 宮田登ほか編『柳田国男事典』. 436-437 (1998)
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[Publications] 笹原 亮二: "アチックミューゼアム" 宮田登ほか編『柳田国男事典』. 438-439 (1998)
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[Publications] 笹原 亮二: "祭の過程-石崎奉燈祭の映像取材から-" 民博通信. 84号. 31-44 (1999)
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[Publications] 桝屋 友子: "絢爛たるミクロの世界:ペルシアの細密画" 李刊文化遺産. 6巻. 32-34 (1998)
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[Publications] 桝屋 友子: "移民たちのニューヨーク" 月刊みんぱく. 23巻2号. 15-17 (1999)
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[Publications] 立平 進ほか: "平戸市史・民俗編" 平戸市, 741 (1998)
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[Publications] 立平 進: "長崎県の祭り・行事百選" 長崎県文化推進室, 225 (1999)
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[Publications] 近藤 雅樹ほか: "民具の世相史 増補版" 河出書房新社, 230 (1998)
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[Publications] 木下 直之ほか: "日本の写真家19 桑原甲子雄" 岩波書店, 71 (1998)
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[Publications] 吉田 憲司ほか: "色彩から歴史を読む" ダイヤモンド社, 336 (1999)
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[Publications] YOSHIDA,K.et al.: "Children's Masquerades in Africa" Nelson-Atkins Museum of Art, in press
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[Publications] 岸上 伸啓: "極北の民 カナダ・イヌイット" 弘文堂, 262 (1998)