2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10041077
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Research Institution | UNIVERSITY OF SHIZUOKA |
Principal Investigator |
尹 大栄 静岡県立大学, 経営情報学部, 助教授 (30258305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米山 茂美 武蔵大学, 経済学部, 助教授 (30258496)
王 効平 北九州大学, 経済学部, 教授 (50223706)
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Keywords | アジア企業 / ネットワーク / 国際比較研究 / 企業システム / サブ・システム |
Research Abstract |
本年度の現地調査では、アジア企業のネットワーキングに関する分析枠組みをより精緻化し、各国の企業システムの全体像(system configuration)を包括的に比較分析することに力点をおいた。 これまでの研究では、アジア企業間の企業システムを比較する際に、例えば生産システムや生産管理システムあるいは人事労務管理システムなど、全体としての企業システムの一部分(サブ・システム)のみに焦点を当てた研究が多かったのに対して、本研究ではより包括的な比較分析を試みた。各国企業のサブ・システムごとにどのような特徴があるのかを明らかにしそれらの相互比較のために、ヒアリング調査とアンケート調査を実施した。 調査の結果、それぞれの国の企業で経営のサブ・システムごとに重要な差異が存在することが確認され、こうした差異が企業間ネットワークの形成・発展にも大きな影響を及ぼしていることが明らかとなった。 アジア企業間で最も差異が顕著なのは、「経営目標・理念」及び「人事労務管理」である。これらは、各国の社会文化的背景が密接に関連し、それぞれの独自性が認められる。一方、アジア企業に共通しているのは、日本型システムと米国型システムの影響がみられることである。具体的には、「生産システムや設備」「生産品質管理」については、日本的システムが幅広く導入されている。そして「戦略策定プロセス」「組織構造」「リーダーシップと意思決定」のそれぞれのサブ・システムについては、近年(とくに通貨危機後)、米国的なシステムの導入が活発であり、より米国的な方向への変容が見られる。アジア企業間でのネットワークキングの可能性を検討した上で、このようなそれぞれの国ごとの企業システムの異同や変化の方向性を、サブ・システムのレベルから包括的に分析することが今後求められると考えられる。
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