1998 Fiscal Year Annual Research Report
女性の地位の向上のための政策に関する国際比較研究:実効性並びに日本における妥当性
Project/Area Number |
10041081
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Section | Field Research |
Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
橋本 ヒロ子 十文字学園女子大学, 社会情報学部, 助教授 (60286119)
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Keywords | 女性政策 / フィリピン / ジェンダーと開発 / 開発と女性 |
Research Abstract |
アジアでは最も効果的に女性政策を推進しているフィリピン女性の役割委員会(NCRFW)の行っている女性政策の実効性について調査した。 フィリピン政府の幹部女性職員、代表的NGO、ならびに国会議員、研究者等合計20名を対象として聞き取り調査を行った。また、地域における女性政策の普及状況を調査するため、ダバオ市の北東部のタクロン市を訪問し、市長、市役所のジェンダーと開発(GAD)グループなどから情報収集を行った。 面接の質問項目は、NCRFWの行っているジェンダーの主流化が国の政策全体ならびグラスルーツの女性たちにどのような影響を与えたか、その限界、連携の実態、「女性の開発と国家建設法」(以下女性法)の効果と限界、30年間の女性行動計画「フィリピンジェンダー対応計画」の評価などである。 政府関係者については、GADと比較的関わりの薄いエネルギー省及び環境・自然資源省の他、人事委員会の副事務総長に面接。エネルギー省でも、女性法で定められた省予算の5%をGADの推進に使うという方針に苦労しながら対応。一方、環境・自然資源省には、熱心にGADに取り組んでいる女性幹部職員の貢献もあり極めて活発で、人事委員会は女性幹部公務員の増加に積極的に取り組んでいた。行政関係者、専門家共にNCRFWを高く評価している。 NCRFWに協力的である場合とない場合により、NGOの評価は大きく分かれたが、日本のように地方自治体に女性政策担当が設置されていないことも反映し、全体的にグラスルーツの女性たちにリーチアウトできていない(そのシステムがない)という意見であった。 ダバオ市では、市の予算の6%をGADに割り当てるという女性条例を1996年に制定。女性の市民グループが原案を策定し、策定の過程ですべての自治組織で公聴会を開催し意見を徴収しており、日本における男女平等条例策定に参考となる。
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