1999 Fiscal Year Annual Research Report
返還後の香港の社会変容と周辺地域への影響に関する調査研究
Project/Area Number |
10041082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Section | 一般 |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷垣 真理子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50227211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯島 渉 横浜国立大学, 経済学部, 助教授 (70221744)
容 應萸 亜細亜大学, 教養学部, 教授 (20230849)
濱下 武志 東京大学, 東洋文化研究科, 教授 (90126368)
帆刈 浩之 川村学園女子大学, 文学部, 講師 (40284278)
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Keywords | 香港 / 香港返還 / ネットワーク / 華人 / 家族 / 社会変容 / 沖縄 / 台湾 |
Research Abstract |
香港返還は今世紀末の東アジア地域における歴史的な事件の1つであった。返還直前の関心は、返還後の香港が中央政府からどのような政治的干渉を受けるかということ、またその経済的繁栄を維持できるか否かにあった。本研究では、返還による香港自身の変化と周辺地域への影響を総合的に調査することにある。本年度の柱は(1)香港返還の周辺地域への影響、(2)香港ネットワーク、(3)返還後の香港の社会変容、の3つであった。研究協力者には新たに東京大学大学院総合文化研究科の若林正丈教授と香港大学商学部の伍錫康教授を加えて、政治的・経済的側面についての調査体制を強化した。(1)については、若林が台湾への影響を、飯島渉・帆刈浩之が沖縄への影響を、谷垣真理子がアメリカへの影響について資料収集および聞き取り調査を行った。(2)については、昨年度に引き続き、容應萸が容星橋ら一族のネットワークについて文献調査を実施した。帆刈は香港の中国化がもたらした中国医学の新たな発展の方向性を調査しつつ、シンガポールやカナダの華人社会との比較を試みた。飯島は疾病構造の分析を通じて、香港と沖縄との交流関係の解明に取り組んだ。洗玉儀と濱下武志はこれらに関係する歴史的資料の収集を積極的に行った。このほか、岩間一弘は香港ネットワークと上海ネットワークの比較を試みた。(3)については、黄紹倫が香港から海外への移民に注目しつつ、谷垣が中国大陸から香港への移民に注目しつつ、それぞれ返還を跨ぐ香港住民のアイデンティティーの状況を明らかにしようとした。分析に際して、伍は香港の産業構造の転換と労働問題について知見を提供した。鍾庭紹は継続的な世論調査を基礎に、香港と台湾双方の住民アイデンティティーの比較を試みた。来年度は本年度実施できなかった僑郷からみた香港返還について調査を実施し、イギリス・オーストラリアでの資料集を実施したい。
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[Publications] 容應萸: "容星橋:容〓与孫中山的接触点"容こう与中国近代化(珠海出版社). 700-717 (1999)
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[Publications] 帆刈浩之: "香港東華医院と広東〓ネットワーク"華僑・華人史研究の現在(汲古書店). 229-254 (1999)
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[Publications] 飯島渉: "華僑・華人研究史の現在"汲古書店. 379 (2000)