2000 Fiscal Year Annual Research Report
「南アジア地域協力機構(SAARC)」における市場経済と環境政策の総合的研究
Project/Area Number |
10041099
|
Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
柏岡 富英 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (40142591)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHRESTHA Manoj 甲南大学, 経営学部, 教授 (90248097)
北川 勝彦 関西大学, 経済学部, 教授 (50132329)
飯田 経夫 中部大学, 大学院・経営情報学研究科, 教授 (70022449)
東元 春夫 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (80218693)
川浦 昭彦 小樽商科大学, 商学部, 教授 (10271610)
依田 博 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (50093539)
薮野 祐三 九州大学, 大学院・法学府, 教授 (10047730)
|
Keywords | 近代化 / 世界システム / SAARC / 日本モデル / 開発独裁 / 開発と金融政策 / 知的財産権 / 生物資源 |
Research Abstract |
本研究で取り上げたSAARC(南アジア地域協力連合)は、同じアジアの一部でありながら、東南アジアとは異なって、インドを例外として、一向に発展の弾みのつかない諸国、すなわちパキスタン、バングラデシュ、スリランカ、ネパール、ブータン、モルディブの七カ国による地域協力機構である。「アジアの時代」にもかかわらず、アジアの一部がなぜ発展したのかに研究が集中し、他の一部がなぜ発展しないのかという問題意識が希薄であったことの反省に立って三年間の研究を計画したのである。1960年代以降の日本の経済発展が「奇跡」と呼ばれ、「日本モデル」の特異性は、その当時の社会科学の主流をなしていた近代化論仮説に重大な挑戦状を突きつけた。そればかりでなく、近代化論の根本的欠陥を鋭くついたはずの世界資本主義システム論も、ついに日本に適切な位置づけを与えることが出来ないでいた。しかし東/東南アジア経済の台頭は、この「日本モデル」特異仮説そのものを再度覆すことになった。実際、この時代の経済発展論はアジアを中心に展開されたと言って過言ではなかろう。七カ国を歴訪した印象を一言で表すなら、それは(モルディブとブータンを除いて)「近代化による失敗」であった。近代化などしなければよかった、などと言っているのではない。「近代化」をどう定義しようと、近代化を避けて通ることのできた国などありようはなかった。この失敗を繰り返さないための、われわれがたどり着いた処方箋は、日本モデル(開発独裁)の再発見である。すなわち、かつて日本は、資本主義を伝統社会に接木する方法によって先進国の仲間入りを果たしのだが、SAARC諸国は、国際機関の脅しに怯えて、伝統社会を否定しようとして失敗し、社会を紛争の危機に直面させている。この仮説的処方箋の妥当性をさらに確かめる必要があることはいうまでもない。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 北川勝彦: "南アフリカ経済史研究の課題"関西大学『経済論集』. 50巻4号. 47-67 (2001)
-
[Publications] 依田博: "紛争社会と民主主義"有斐閣. 238 (2000)
-
[Publications] 薮野祐三: "先進社会のイデオロギーII"法律文化社. 225 (2001)