Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
胡 受奚 南京大学, 地球科学系, 教授
曹 志敏 成都理工学院, 資源経済系, 教授
高木 秀雄 早稲田大学, 教育学部, 教授 (60154754)
小林 祥一 倉敷芸術科学大学, 産業科学部, 助教授 (20109739)
金田 博彰 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10092181)
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Research Abstract |
中国南西地域における鉱物鉱床の分布特性を解明するための現地調査として,四川省南部の挙枝華鉱床と拉拉鉱床,さらに中西部の大水溝鉱床,黄金坪鉱床を調査した.このあと,北西部の甘孜付近で発見されている黒鉱型鉱床を調査する予定であった.しかし,例年にない大雨(後の長江中流域の洪水の原因)で危険なため,この地方の調査は中止した.この中止に代わる新たな調査地域として,中国東部の南京市付近と山東半島を加えた. 宰技華鉱床は正マグマ成で,鉄以外にチタンとヴァナジウムを産する.鉱山関係者の説明では,副産物としてのチタンとヴァナジウムが効率よく回収できずにいるとのことである.これは,チタンやヴアナジウムが磁鉄鉱中に固溶していたり,チタン鉄鉱が磁鉄鉱と細かい離溶組織を形成しているためと考えられる.拉拉鉱床はスカルン型に属し,銅を産する.大水溝鉱床は,テルルを産する珍しい鉱脈型鉱床である.ただし,外国人には開放されていないため,鉱脈露頭へは行けず,また既に採取されている試料も観察するだけで,分けてもらえなかった.黄金坪鉱床はその名の通り,金を産する.見学したのは傾斜が45゚程度の比較的緩傾斜の鉱脈である. 南京市周辺には数多くの鉱床が存在する.それらのうち,今回は銅井(Cu-Au),栖霞山(Pb-Zn),琅瑯山(Cu),冶山(Fe),馬鞍山(Fe),鳳凰山(Fe),吉山(Fe)を見学・調査した.山東半島は,現在中国の金の半分以上を生産している.鉱床には,鉱脈型と鉱染型の2種類がある.今回見学・調査した陵龍鉱床は北西部が鉱脈型で南東部が鉱染型である.もう1つの尹格庄鉱床は鉱染型に属する. P格庄鉱床は,陵龍花崗岩を母岩とし,新鮮な花崗岩から鉱体へ向けて,カリ長石化と絹雲母化の変質分帯が見られる.また,鉱体付近には多くのペグマタイト脈が存在する.これらの岩石のK-Ar年齢を測定したところ,すべて1.2〜1.4億年の値を示した.カリ長石化帯のカリ長石は,Al/Si分配の秩序度が正長石と微斜長石の間で,母岩の花崗岩の正長石より秩序化されている.日本の第三紀の金鉱脈にしばしば見られるカリ長石の秩序度は,正長石からハリ長石の間であり,日本と山東半島の金鉱脈が異なる環境で生成したことが示唆される.
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