1998 Fiscal Year Annual Research Report
開発途上国の建築生産における現代建築の適応に関する研究
Project/Area Number |
10041143
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Section | Field Research |
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小倉 暘之 琉球大学, 工学部, 助教授 (30117569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田上 健一 琉球大学, 工学部, 助手 (50284956)
ヤップ デヴィット・レヨ フィリピン大学, 都市地域計画学部, 助教授
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Keywords | フィリピン / 建築生産 / 建築計画 / 適正技術 / 開発途上国 |
Research Abstract |
本年度は、3年計画の研究の初年度にあたり、現地の状況把握と研究体制の形成に重点を置いて研究調査活動を行った。 建築生産に関する調査では、多数の現地建築設計関係者や技術関係者への直接聞き取り、及び建設現場の視察によりフィリピンにおける建築生産の実際を調査し、現地における建築生産形態の特色を理解することができた。近年における経済の急速な自由化の中で欧米先進地域の現代建築のデザインの直写も都心部には見られるが、そうした一部の特殊な建築を除けば大半は先進地域とは異なる法制度、技能、資材調達等の現地建設事情に立脚した生産体制により建設されている。コンクリート造建築に関しては住宅から各種建築に至るまで基本的には特色ある同一の工法を適用し、広範囲に建設活動を行っていることが把握された。工法の詳細な調査と分析は次年度の研究に予定しているが、現地生産の豊富なセメントに依存する生産体制が形成する現代建築には先進地域には見られないコンクリート工法が定着している。 また、文献資料調査からは、フィリピンにおける欧米文化と地元伝統文化の調和における歴史的経緯に独特の文化があり、今日尚その在り方に現代建築と関わる部分があり、適応概念の適用の有効性が改めて認識された。尚、フィリピンにおける近代・現代建築研究は現地でも近年になって研究が始まっており、参考文献の収集に多くの労力を要したが、現地共同研究者との共同により貴重な資料を多数収集することができた。
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