2000 Fiscal Year Annual Research Report
ウォーレシア(インドネシア)先住民族の集団遺伝学的研究
Project/Area Number |
10041158
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平井 百樹 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (60156635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾本 恵市 桃山学院大学, 文学部, 教授 (10011503)
赤尾 信明 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (00126559)
松本 芳嗣 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00173922)
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Keywords | ウォーレシア / 先住民族 / 集団遺伝学 / 寄生虫 / スラウェシ島 |
Research Abstract |
アジア周辺の人類集団の起源を知るうえで、ウオーレシアを構成するインドネシア諸島の先住民について調べることは重要である。特に最近、オーストラリアの古人骨マンゴーマンのDNA解析がなされ、新たな視点からのアジア大平洋地域の人類集団の系統関係の解析に関心が持たれ始めている。本研究では、過去2年間に、セラム島、フローレス島の調査を行い、最終年度の本年度は地域の異なるスラウェシ島南部のトラジャ周辺の集団について注目し調査した。合計約200名について、人類学的計測、健康状態ならびに人口動態に関する情報収集、採糞を行った。そのうち134名についてはインフォームドコンセントを得たうえで採血を行った。 身長をはじめとする人類学的計測結果については、他の3集団との明瞭な差は見い出されていない。腸内寄生虫の感染率は極めて高かった。一方、末梢血液の塗沫標本の検査から、マラリア感染率は低かった。甲状腺腫が女性において高頻度にみられるのが、この集団の特徴であった。遺伝的背景があるのか、何らかの環境要因によるものかは不明である。約100名分の末梢血リンパ球については、EB-トランスフォームにより細胞系として樹立し、液体窒素中に保存した。血清蛋白、血球酵素といった血液の遺伝標識によると、調査した3集団は有意な差を示す。DNAレベルでの多型については解析などであるが、ミトコンドリアDNAの多型を指標にしても、上記3島は顕著に異なるという興味深い結果が得られた。これらの結果を踏まえ、従来の東南アジア集団、特にフィリピンのネグリト集団との遺伝学的関係を調べることとした。
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[Publications] Akao,N.: "Ocular larva migrans caused by Toxocara cati in Mongolian gerbils and a comparison of ophthalmologic findings with those produced by T.canis."J.Parasitology. 86(5). 1133-1135 (2000)
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[Publications] Kasai,F.: "Comparative FISH mapping of the ancestral fusion point of human chromosome 2."Chromosome Research. 8. 727-735 (2000)
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[Publications] Dubinsky,P.: "Comparison of the sensitive screening kit with two ELISA sets for detection of anti-Toxocara antibodies."Southeast Asian J.Trop.Med.Public Health. 31(2). 394-398 (2000)