Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 博 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (90234707)
佐野 光彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (50178810)
福代 康夫 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 助教授 (10165318)
岡本 研 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (20160715)
馬場 治 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (40189725)
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Research Abstract |
平成11年6月30日に,タイ国National Research Council of Thailandより,タイ国内における正式な調査許可を得た.平成11年8月および平成12年3月にそれぞれ約2週間にわたる,現地調査を行い,この結果に従来の予備的調査ので得られたデータおよび標本を加えて,日本において解析を進めた.また,これと平行して,従来から行っていた聞き込み調査,文献調査も継続して行った.聞き込み調査および過去の統計資料より,タイのエビ養殖の現状を以下のように把握した.すなわち,タイ国の中央地域においては,エビ養殖は,衰退傾向にあり,地域全体として回復の可能性はない.東部地区および西部地区においては,国あるいは大規模な養殖企業および組合化した零細業者によって,集約的養殖に耐え得る合理的な給排水システムの建設が計画されるなどの努力が行われているが,これらの努力によっても,現在の生産量が持続的に維持されるのみであり,生産量の急激な増加は期待できない.今後,エビ養殖業の急速な発展が予測されるのは,アンダマン海に面した地域であり,この地域の環境・生態系の保全とエビ養殖産業の持続的な発展の両立が大きな課題となると予想された.そのような認識から,現地調査では,アンダマン海に面したトラン県シカオのシカオ水路に調査地点を定めた.調査に先立ち,調査地域の地形を,ランドサットTMデータにより調査した.その結果,衛星画像により水路周辺のマングローブ林の広がりを把握することが可能であり,これに基づいて調査用の地図を作製することが出来た.この地図によって,水路の形状を把握し水路内の水の流動について調査した.その結果,水路の蛇行や短絡の結果,水路内の連続した地点でも流速の変化が見られ,それにともなって,底質の粒度組成が異なっていた.この粒度組成の違いは,地点間の魚類相の違いと良く対応しており,水路内の魚類の分布や多様性に,水路の蛇行が深く関係していることが示唆された.
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