1998 Fiscal Year Annual Research Report
西アフリカの野生チンパンジーの比較行動・生態学的研究
Project/Area Number |
10041168
|
Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
|
Section | Field Research |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 幸丸 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (20025349)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山越 言 京都大学, 理学研究科, 特別研究員
JEREMY Koman ギニア共和国ニンバ山研究所, 所長(研究職)
松沢 哲郎 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (60111986)
|
Keywords | チンパンジー(野生) / PCR法 / 父性判定 / 遺伝的類縁度 / 植生 / 植物生産量 / 道具使用 / 行動伝播 |
Research Abstract |
西アフリカ・ギニア共和国東南隅のボッソウ地域に生息する野生チンパンジー集団の行動・生態調査を行った。 1. 既に1976年から全個体識別されており、出生、死亡、消失等は詳細に記録されている。これらの個体群動態の記録によると、東アフリカのゴンベやマハレの個体群と異なり、雄の移出が予想された。そこで、これら人口学的パラメーターを継続記録するとともに、個体間の遺伝的関係を明らかにするために全個体の個体識別に基づく尿、糞、毛髪等を採集した。これらの資料は霊長類研究所に持ち帰ったので、PCR(Polymerase Chain Reaction)法によりDNA分析し、個体間の遺伝的類縁度を明らかにし、また生物学的父親を特定する。雌の場合、他群から移入したものなら互いの類縁度は低いはずだし、子どもについては、外来雄の子なら群内に父親が見つからないはずである。 2. 類似の目的で、ニンバ山のチンパンジー生息地を探索し、チンパンジーのものと思われる糞他を採集した。DNA分析により、ボッソウ群との類縁度を求める。 3. 過去20年以上ほぼ安定したサイズを保っているボッソウ群の食物供給量を明らかにするため、群れの行動域内の植生を調べ、サンプル地域を決めて主たる食物樹の季節的果実生産量とその変化を測定した。 4. 杵突き、水藻掬い、ハンマー使用、アリ釣りなどの道具使用者の性年齢、利き手、子どもの学習発達、等を記録した。これは個体発達による、また時間経過による行動の伝播状況を明らかにする。
|
Research Products
(9 results)
-
[Publications] Matsuzawa, T: "Chimpanzee behavior:A comparative cognitive perspec-tive. In:G.Greenberg & M.Haraway(eds.)" "Comparative psychology:A handbook" Garland Publishing. (1998)
-
[Publications] Matsuzawa, T: "Communication and tool use in chimpanzees:Cultural and social context. In:M.Hauser & M.Konishi(eds.)" "Neural mechanisms of communication", MIT Press. (in press). (1999)
-
[Publications] Matsuzawa T.: "Primate foundation of human intelligence:A view from Manipulation and tool use in nunhuman primates. In:A.Nowell(ed.)" "Archaeology of Mind", Cambridge Univ.Press. (in press). (1999)
-
[Publications] Yamakoshi, G.: ""Dietary responses to fruit scarcity of wild chimpanzees at Bossou, Guinea:Possible implications for ecological importance of tool use."" American Journal of Physical Anthropology. 106(3). 283-295 (1998)
-
[Publications] 山越 言: "“神聖な森"のチンパンジー:ギニア・ボッソウにおける人との共存" エコソフィア. 3(印刷中). (1999)
-
[Publications] 山越 言: "道具使用の生態学-野生チンパンジーの採食文化" 遺伝. 53(1). 21-25 (1999)
-
[Publications] 山越 言: "野生チンパンジーの道具使用からみたヒトの物質文化の起源:食物資源の不足をどう克服したのか" 科学. 69(4). 376-383 (1999)
-
[Publications] Hirata, S., Morimura, N., and Matsuzawa, T.: "Green Passage Plan(tree-planting project)and enviromental education using documentary videos at Bossou: A progress report." Pan African News. 5(2). 18-20 (1998)
-
[Publications] 明和 政子: "文化を支える模倣-チンパンジーにみる模倣の起源" 遺伝. 53(1). 8-51 (1999)