Research Abstract |
東南アジアおよび照葉樹林帯には多くの民族が生活をしており,特有の食生活を営んでいる.昨年度から今年と,比較的高温多湿のこれらの地域で,殻類・茶・肉・魚・大豆類などの伝統的な発酵食品の調査を行っている.これらの地域も環境変化のみならず社会変化をうけ,食生活の変化も例外ではなく画一化してきている.自然発酵法およびそれを用いた食品自体消滅する可能性が加速している現状を鑑み,少数民族の稀少な伝統発酵食品の掘り起こしを行った. 今年度(1999年)の調査地域は,照葉樹林帯の中心である中国南部を調査した.広州を経由して雲南省(昆明),貢山,瑞璃,路西,永平,麗江,大理,中旬等を,時間をかけ詳細に調査.調査内容は,伝統食品(殻類,茶,大豆,肉,魚)の探索と製造法の調査と,伝統食品に関与している微生物の分離・同定を行った.具体的な発酵食品については,中国で生産される米の非発酵麺である乾醤米麺,発酵麺の酸醤米麺を見出した.大豆類の加工品である豆腐をカビつけした毛豆腐,それに味付けをした腐乳,納豆様豆鼓,粒状の味噌等を採取した.今までの報告されている地域と今回採集した地域との検証を行っている.試料中に普遍的に存在する微生物の分離,試料中の成分等の分析を行なっているが,プロテアーゼ活性の強い微生物の分離に成功している.現在,分離しているBacillus属を,遺伝学的手法を用いて検討を加える系統樹を作成中である.また,伝統発酵食品の人体への影響など,多角的に検討し,新しい食品への応用を目指している.
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