1998 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節症の発症原因と食習慣に関する研究-日本人と同一ルーツをもつ中米インディオでの実態調査-
Project/Area Number |
10041193
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Section | Field Research |
Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
大西 正俊 山梨医科大学, 医学部, 教授 (50014139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ディエス D. ホンデュラス国立自治大学, 歯学部, 助手
バラオナ J.F. ホンデュラス国立自治大学, 歯学部, 教授
本田 武司 福岡歯科大学, 歯学部, 教授
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Keywords | ホンデュラス、ミスキート族 / ホンデュラス、ヒカケ族 / 顎関節症の発症誘因 / 歯列咬耗 / 食習慣 / 下顎頭変形 / 下顎頭適応 / リモデリング |
Research Abstract |
本年度、当初予定していた11月の現地調査はホンデュラスでのハリケーン大災害のため不可能となったため、急遽、その一部である米国での資料収集を第一回目の調査とした. 99年2月になり、現地スタッフの3回にわたる状況調査から、本調査が可能な状況になったと判断されたので、ホンデュラス、グァテマラ、米国での現地調査、資料収集を行なった。 まずホンデュラス、最東端の地形的に隔離されたニカラグア国境に近いラ・モスキチア、カリブ海沿岸地方、ブルースラグナ湖沼地帯の居住民ミスキート族の調査を行なった。顎関節症状を有する率は講査した153名中の対象のうちの98名(96顎関節)の約4%にも達し、歯の咬耗ブローカー分類は2度が最も多く、う触の多発傾向がみられた。食物の調査では軟らかく調科した穀物からの食品トルティーア、フリーホーレスと魚、肉類が中心で、繊維質を含む野菜はほとんど摂取しない結果が示された.一方、ホンデュラスのほぼ中央、フロール山の山岳地帯に住むヒカケ族の調査では調査した132名中の対象63名126顎関節のうち、症状を有する率は約25%であり、歯の咬耗はブローカー分類の3度が最も多く、う触はミスキート族より少ないことが明らかとなった。食物調査では穀物、野菜を食し、肉類が少ない傾向であった。 グァテマラでは同国中央、山岳地帯のサンアントニオアウアカリエンテス、アティトランでの対象46名のメスティーソの調査結果は、約35%の顎関節症状の有症状率であった。 考察として、繊維性食物を中心とした軟食、硬食の違いが、ミスキート族、ヒカケ族の間でみられ、顎関節症状の発現の差との関連性が示唆される結果であった. 一方、米国スミソニアン博物館、グァテマラ考古学人類学博物館における資料からは、顎関節下顎頭の変形と上下歯列咬耗群のブローカー分類1.2度群で円形、丸型を示す傾向で、下顎頭の適応リモデリングと咬耗、食習慣の関連性が示唆された。以上の事項については更に多数例にもとづいた資料の集積による検討がまたれる。
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