1999 Fiscal Year Annual Research Report
人間行動と進化-進化心理学の理論と実証およびその社会的影響
Project/Area Number |
10044003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 寿一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30172894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐倉 統 横浜国立大学, 経営学部, 助教授 (00251752)
長谷川 真理子 専修大学, 法学部, 教授 (00164830)
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Keywords | 進化心理学 / 人間行動生態学 / 人間行動進化学 / 殺人 / 死亡率の性差 |
Research Abstract |
本研究では、我が国においてまだ揺籃期にある進化心理学の礎を築き、実証研究においてその有効性を示すことを目的とした。この目標を実現させるため、進化心理学の第一人者である、Daly,Wilson両教授とともにさまざまな研究活動を行った。以下、研究成果を、a)進化心理学の普及と研究基盤の整備、b)進化心理学の基礎的研究における日加間でのデータの比較、の2点に分けて述べる。 進化心理学の普及と研究基盤の整備については、1999年の9月に「人間行動進化学研究会」(現会員数は約120名)を発足させ、同年12月に第1回研究発表集会(特別講演2件、一般発表19件)を開催した。また研究発表集会に合わせて、日本認知科学会のシンポジウム「進化の認知科学」をオーガナイズした。Daly,Wilson両教授をこの2つの研究会に招き、基調講演ならびに討議に参加していただいた。現在、人間行動進化学研究会では、インターネットを利用して会員に活発な情報提供を行っている。両長谷川は、進化心理学と人間行動生態学に関する総説ならびに教科書(印刷中)を出版し、国内外の複数の学会・ワークショップで進化心理学に関する講演を行った。 進化心理学の実証面での日本・カナダ協力研究では、1)殺人行動、2)死亡率の性差の分析を行った。殺人研究では、両長谷川がDaly,Wilson両教授の著書であるHomicideを邦訳するとともに、日本の殺人資料を進化心理学の観点から分析した。その結果は、米国人間行動進化学会、トロント大学犯罪学研究所等で発表した。死亡率の性差に関する行動生態学的分析は、Daly,Wilson両教授による古典的な研究があるが、我が国の長期的な人口学資料の分析を通して、欧米とは異なるパターン、すなわち戦前における女性死亡率の高さが浮き彫りになった。この結果についても、国内外の学会で発表した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 長谷川 寿一: "心の遺伝と進化"別冊遺伝. 11. 15-20 (1999)
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[Publications] 長谷川 寿一: "進化理論は心について何を語るか"生物科学. 50(4). 216-226 (1998)
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[Publications] デイリー,M.&ウィルソン,M: "人が人を殺すとき-進化でその謎をとく(長谷川真理子 長谷川寿一訳)"新思索社. 512 (1999)
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[Publications] 長谷川寿一・長谷川真理子: "進化と人間行動"東京大学出版会(印刷中).
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[Publications] 長谷川真理子: "進化とはなんだろうか"岩波書店. 213 (1999)
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[Publications] 長谷川真理子: "科学の目科学のこころ"岩波書店. 214 (1999)