1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10044039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
吉野 一 明治学院大学, 法学部, 教授 (50062162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 寛治 明治学院大学, 法学部, 教授 (90308073)
加賀山 茂 名古屋大学, 法学部, 教授 (20169379)
曽野 和明 帝塚山大学, 法政策学部, 教授 (40002258)
清水 忠之 明治学院大学, 法学部, 教授 (10162702)
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Keywords | 国連売買条約 / 国際取引 / 契約法 / 比較法 / 人工知能 / 知識分析 / 知識ベースシステム / 法律エキスパートシステム |
Research Abstract |
本研究は、国連売買条約の意味(知識)構造を、国際取引において重要な位置を占める米・ドイツ・および日本の同法の専門家と法律人工知能研究者が共同して解明することを目的としている。本研究では、国連売買条約の法的知識の構造を、同法が具体的事件に適用されたとき、同法の関連知識がどのように用いられてどのような推論を経てどのような結論に至るかを明らかにすることによって解明しようとした。しかも、一つの法である国連売買条約が、米国、ドイツおよび日本の法学者によって、国の法文化の違いによって、どのような点で共通してまたどのような点で異なって理解されるかを、上記の観点と方法で明らかにしようとした。このため、日本側(吉野、曽野、加賀山)とドイツ(シュレヒトリーム)と米国(フレヒトナー)がそれぞれ説例を作成し、この説例に対する解とその理由をそれぞれが提出し議論し、その議論を記録し全員が分析した。その結果、ほとんど全ての議論において法的正当化の論理構造が成り立っていること、意見の違いは法的発見の推論で付加される解釈命題の違いにあり、それは条文の文言の拘束力をどの範囲で認めるかの違いおよび法の適用結果についての予測とその評価の違いに基づくことが明らかになった。また条文の拘束力の範囲についての見解の違いには、法学者の法文化的背景、すなわち大陸法系またはコモンロー法系的法学教育を受けているか、国内的または国際的法実務活動の経歴を有するかなどに応じて共通の傾向を有することなどが明らかとなった。本研究によって、比較法的研究として、条文や概念を比較するのではなく、推論過程と用いられている知識を比較する方法の有効性がより明らかとなった。また国連売買条約の知識の基本的論理構造として、同法とユニドロアおよび日本民法の知識構造の異同が明らかとなった。
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[Publications] 加賀山 茂: "損失利益(4)ー中間利息控除(ホフマン方式)ー"交通事故判例百選〔第4版〕. (1999)
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[Publications] 清水 忠之: "判例研究「仮名で株式を分散し単位未満株式を取得した者による買取請求」ー名古屋地裁 平成8.1.26"ジュリスト. 1164. 115-153 (1999)
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[Publications] 曽野 和明: "相互浸透の世界における法体系の動揺ー国家法の脱落と私法秩序の再構築ー"長谷川晃編『市民的秩序のゆくえ』(北大法学部ライブラリー). 4巻. 277-298 (1999)
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[Publications] 河村 寛治: "国際取引におけるコンプライアンス"JCAジャーナル(国際商事仲裁協会). 12-19 (1999)
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[Publications] 河村 寛治: "環境問題と企業経営についての一考察"明治学院法学研究. 68号. 127-178 (1999)
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[Publications] 吉野一 曽野和明 他: "法律人工知能"創成社. 394 (2000)
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[Publications] 吉野 一: "法理論学"成文堂. 近刊 (2000)
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[Publications] 河村寛治・舛井一仁・吉井達夫・牧野和夫: "国際法務グローバル・スタンダード17ヵ条"プロスパー企画. (1999)