1999 Fiscal Year Annual Research Report
陽イオンポンプで見出した順次的ATP結合と多重リン酸化;オリゴマー構造と機能調節
Project/Area Number |
10044048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
谷口 和弥 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40028204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今川 敏明 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20142177)
嘉屋 俊二 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90186023)
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Keywords | Na / Kポンプ / H / Kポンプ / リン酸化 / フォスファターゼ / 構造変化 |
Research Abstract |
1価陽イオン輸送ATPasesは、ATPによりリン酸化反応中間体(EP)を形成し、P型ATPaseと称される。例えばNa/K-ATPaseは、Na^+に依存したEP形成と共役しNa^+を能動輸送、ついでK^+に依存したEP分解と共役してK^+を能動輸送すると、生化学、分子生物学の教科書に記載されている。しかし我々はNa/K-ATPaseが4量体、(αβ)_4、構造をとり、EPは単にそのうちの半分、(αβ)_2でのみ形成され、最初に2つの(αβ)_2でそれぞれE1Pが、そして残りの2つの(αβ)_2にそれぞれATPが結合する、ついでE1PはE2Pに変化すると共に、残りの(αβ)_2に結合していた一方のATPはそのままで、他は加水分解され結合、ADP/Piに変化すること、E2PがK^+で脱リン酸化されると、脱リン酸化された2つの(αβ)_2にそれぞれ2分子のK^+が閉塞され、他の2つの(αβ)_2にADP/Piが共に結合していることを見い出した。さらにロータリーシャドウ法による電子顕微鏡観察でも(αβ)_4の存在を証明した。さらに最近胃酸分泌に関与するH/K-ATPaseで同様な結果を我々は得た。これらは従来全く予想もされていなかった発見であり、さらに興味深いことは輸送ATPaseがモータータンパクと共通の反応中間体EATP、EADP/Piを形成することを初めて見出したことである。以上の結果その他は以下の3点に集約される。 1.1価陽イオン輸送P型ATPaseは従来考えられていた(αβ)で機能するのではなく(αβ)_4で機能する。 2.P型ATPaseの反応中間体の半分はEPであるが、残りの半分はすでに三十数年前、初めてATPase反応中間体として殿村教授によって発見されていたMyosin ATPaseと同じ中間体、EATPとEADP/Piである。そしてATPの加水分解は(αβ)_2で生じるEPを経由する2つの経路とEPを経由せずEADP/Piを経由する2つの経路の計4並列機構で進行する。 3.膜を隔てて輸送される2種類のイオンは順ではなく同時に能動輸送される。
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[Publications] M. Kanagawa, et al.: "Membrane Enzyme Systems Responsible for the Ca^<2+>-dependent Phosphorylation of Ser^<27>, the Independent Phosphorylation of Tyr^<10> and Tyr^7, and the Dephosphorylation of These Phosphorylated Residues in the α-Chain of H/K-ATPase"J. Biol. Chem.. (2000)
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[Publications] T. Yokoyama, et al: "Acid-labile ATP and/or ADP/Pi binding to the tetraprotomeric form of Na/K-ATPase accompanying catalytic phosphorylation-dephosphorylation cycle"J. Biol. Chem.. 274. 31792-31796 (2000)
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[Publications] M. Kanagawa et al.: "Direct evidence for In Vivo reversible tyrosine phosphorylation of the N-terminal domain of the H/K-ATPase α-Subunit in mammalian stomach cells"J. Biochem.. 126. 266-270 (1999)
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[Publications] K. Taniguchi, et al.: "Tetraprotometrichypothesis of Na/K-ATPase (in Japanese)"Folia Pharmacol. Jpn.. 114. 179-184 (1999)
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[Publications] K. Taniguchi and S. Kaya (Eds.): "The Na/K-ATPase and Related ATPases"Elsevier Science. (2000)