1999 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロケルビン温度域での物質の新奇な秩序状態の探索とその機構解明
Project/Area Number |
10044075
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
馬宮 孝好 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20022600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石本 英彦 東京大学, 物性研究所, 教授 (60044773)
松下 琢 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00283458)
三浦 裕一 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30175608)
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Keywords | マイクロケルビン / 秩序状態 / 基底状態 / 電子磁性 / 核磁性 / 液体固体ヘリウム3 / 超低温 / 量子液体固体 |
Research Abstract |
超低温度域での物性研究は、物質の基底状態を研究するのに極めて重要である。 マイクロK温度域での研究を行うには高度の技術と特別の設備が必要である。この分野で実績のある名古屋大学超低温研究室、フロリダ大学マイクロケルビン研究所及び東京大学物性研究所が国際共同研究を行った。研究期間平成10-11年の2年間に多くの研究者が互いに行きかい、新秩序状態の発見と多くの研究成果を生み出した。以下に物質や現象ごとに概略を記述する。体心立方相ヘリウム3相の全域において秩序温度を測定し、モル体積の依存性を確定した。ねじれ振り子を使って、体心立方相の結晶転位の運動は低温で熱活性型からトンネル効果型に移ることを観測した。グラファイトの表面に吸着した一層以下の固体ヘリウム層の研究を行い、反強磁性から強磁性に相互作用の符号が変化することを見いだし、これを多体スピン交換相互作用で説明した。液体及び固体ヘリウムの基盤の単位表面積当たりの比熱は圧力によらず、一定となり、これは表面に吸着された無秩序固体の比熱であると説明した。ヘリウム4固体の中にあるヘリウム3固体の微結晶において、測定温度範囲では秩序転移を見いださなかった。六方晶BNの表面に吸着した水素分子の磁気共鳴の研究により2次元水素における回転秩序の相図を決定した。 PrPt_5において強磁性ワイス温度2.6mKで自発磁化が発生することを見いだした。重い電子物質CeCu_6の帯磁率と熱膨張率の測定から2mKで反強磁性秩序があることを見いだした。ハルデーンギャップ物質NINAZの偶数個スピンの磁性測定から終端スピンはS=1/2を持つことを示した。偶数分母5/2を持つ分数量ホール効果をはじめて見いだした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Kambara: "Specific Heat due to Amorphous Surface in Solid ^3He"Europhysics Lett.. 46. 499-504 (1999)
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[Publications] W.Pan: "Exact Quantization of the Even-Denominator Fractional Hall State at n=5/2"Phys.Rev.Lett.. 83. 3530-3533 (1999)
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[Publications] T.Mamiya: "Low-Frequency Susceptibility of High-Density bcc Solid ^3He"J.Low Temp.Phys.. 115. 219-227 (1999)
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[Publications] H.Ikegami: "Competition of Multiple Spin Exchanges in Submonolayer Solid ^3He"Phys.Rev.Lett.. 81. 2478-2481 (1998)
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[Publications] Y.Miura: "Pinning of Dislocation Motion in bcc Solid ^3He"J.Low Temp.Phys.. 113. 729-734 (1998)
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[Publications] D.Adams: "Magnetic Susceptibility of ^3He Nano-Clusters"J.Low Temp.Phys.. 113. 375-380 (1998)