1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10044089
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松本 尚英 熊本大学, 理学部, 教授 (80145284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 俊男 大分大学, 教育学部, 教授 (70201879)
中村 政明 熊本大学, 理学部, 講師 (00172437)
甲斐 又朗 熊本大学, 理学部, 教授 (90040104)
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Keywords | 金属錯体 / 磁性体 / 分子ブロック / スピン / 強磁性 / 次元性 |
Research Abstract |
金属錯体は、幾何構造と電子構造の多様性を兼ね備えている。この機能ベクトルを集積させると機能性物質を創りだすことができる。このために、合理的で一般性のある設計指針が求められる。金属錯体を分子ブロックとして用いる2つの集合構造構築法を提案し、磁性体、自然分晶系、構造変換型機能性物質へと発展させている。この方法は、一般性のある集合構造構築法であり、分子磁性体研究に指導的役割を果たしたばかりでなく、他の機能性物質の合成にも分子レベルから機能物性を制御できる有効かつ一般性をもつ方法として発展している。 (1)配位供与性および配位受容性をもつ2種類の金属錯体を分子ブロックとして用いて、2つの組み合わせから多様な集合構造を創り出し、磁気モーメントが集積した多種類の磁性体を創製した。さまざまな形状と結合様式をもつ2種類の分子ブロックから、1次元、2次元、3次元、多核構造を含む多様な集合構造を構築した。さらに、2種類の分子ブロック間の磁気的相互作用の考察から集合化合物の最終的な磁性の予測が可能になった。磁性体の合成には、磁気モーメントが集積する多次元構造の構築並びに隣接磁気モーメント間の磁気配列制御が必要である。この方法はこれまで困難とされてきた多次元集合構造の分子レベルからの構造制御に合理的な方法を提供するとともに、分子レベルでの磁性制御にも道筋を開いた。この方法を用いた磁性体の合成は、この後に添付した資料を参照されたい。 (2)供与性と受容性を同時に含む相補的金属錯体を用いる集合構造構築:従来の超分子構築には、一つの分子ブロックあたり一つの働きをする多種類の部品を組み合わせる手法がとられていたが、一つの分子ブロックあたり供与性と受容性の二つの働きをする相補的金属錯体を用いる方法を提案した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 松本他: "{Mn(salon)CN}_h: The First one-dimensional Chain with Alterhating High- and low-spin Mn^<III>"Angewaviolte Chemie International Edition. 38. 171-173 (1999)
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[Publications] 砂月他: "Synthesis, Magnetic Properties, and Incomplete Double-cubare structure of Mn(III)-M(II) Complexes"Inorganic Chemistry. 37. 5566-5574 (1998)
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[Publications] 椎他: "Deprotonation-induced Enantioselective Aggregation and Deprotonation-induced Ligand Roamangement of Copper(II)"Inorganic Chemistry. 38. 3513-3522 (1999)
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[Publications] 松本他: "pH-Pependent Monomer 【double half arrows】 Oligomer Interconversion of Copper(III) complexes"Inorganic Chemistry. 38. 1165-1173 (1999)