1998 Fiscal Year Annual Research Report
テンプレート法とセルフアセンブリーを組み合わせた機能性内部連結分子の構築
Project/Area Number |
10044104
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Section | Joint Research . |
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
藤田 誠 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所・錯体化学実験施設, 助教授 (90209065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
REINHOUDT Da トゥエンテ大学, 化学科, 教授
COLLIN Jeanー ルイバスツール大学, 化学科, 教授
KERN JeanーMa ルイバスツール大学, 化学科, 教授
DIETRICHーBUC クリスティア ルイバスツール大学, 化学科, 教授
SAUVAGE Jean ルイバスツール大学, 化学科, 教授
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Keywords | 内部連結構造 / テンプレート / セルフアセンブリー / キラリティー / 電気化学 |
Research Abstract |
環状の化合物が化学結合によらずに、立体的要因から連結した内部連結構造をもつ分子はその特異な構造的興味のみならず、情報をつかさどる分子素子としての可能性が考えられている。そのような内部連結構造化合物の簡便・確実・定量的を達成することは非常に重要な課題であり、その方法は新しい物質構築手法となりうる。 その目的を達成するために、我々はCu(1)錯体を用いたテンプレート法とPd(II)錯体を用いたセルフアセンブリー法とを組み合わせて、新規の内部連結構造分子の合成を検討した。テンプレート法もセルフアセンブリー法もそれぞれ内部連結分子の構築手法として利用されるが、双方を組み合わせることで内部連結構造の構築手法の一般的な手法になりうると考えたからである。 その結果、Cu(I)錯体を用いたテンプレート法とPd(II)錯体を用いたアセンブリー法とを組み合わせ、新規の内部連結構造分子を合成することに成功した。実験操作は非常に簡便であり、シンプルな有機化合物と金属中心との反応により汎用の有機溶媒と水の混合溶媒をもちいて室温かつ短時間で反応が終結する。このような簡便な操作からほぼ定量的な収率で目的の化合物を単離することができた。 連結環構造をもつ分子がキラリティーを示した。これは一つの分子の環が小さいために、連結したときに運動が制限されるためである。結晶構造を得るために検討を続けて行なう予定である。 この分子は電気化学的にも非常に興味深い性質を示した。電気化学的な性質を調べるとCu(I)の酸化電位が顕著に上昇した。また紫外光吸収に関しても吸収極大が赤方移動(Red Shift)を示した。これはカチオニックな性質を示すPd(II)金属が骨格の中に含まれるために、Cu(I)の電気化学的性質に影響を与えたことによるものである。 環状錯体からCu(I)金属によって連結環状構造が誘帰された。有機配位子とPd(II)錯体から始めに環状錯体を得た後に、Cu(I)金属を加えることによって連結構造が作られることを見出した。
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[Publications] M.Fujita, O.Sasaki, K.Ogura: "Self-assembled Molecular Ladders" New.J.Chem.189 (1998)
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[Publications] M.Fujita, M.Aoyagi, F.Ibukuro, K.Ogura: "Made-to-Order Assembling of [2] Catenanes from Palladium(III)-Linked Rectangular Molecular Boxes" J.Am.Chem.Soc.611 (1998)
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[Publications] M.Fujita, M.Aoyagi, K.Ogura: "Coordination Polymers Self-Assembling from Cadmium(II) Ions and Flexibile Pyridine-based-Bridging Ligands" Bull.Chem.Soc.Jpn.71. 1799 (1998)
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[Publications] M.Fujita, S.-Y.Yu, T.Kusukawa, H.Funaki, K.Ogura, K.Yamaguchi: "Self-Assembly of Nanometer-sized Macrotricyclic Complexes from Ten Small Component Moleules" Angew.Chem.Int.Ed.Engl.37. 2082 (1998)
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[Publications] F.Ibukuro, T.Kusukawa, M.Fujita: "A Thermally Switchable Molecular Lock. The Guest-Templated Synthesis of a Kinetically Stable Nano-Sized Cage" J.Am.Chem.Soc.120. 8561 (1998)
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[Publications] T.Kusukawa, M.Fujita: "Encapsulation of large, Neutral Molecules in a Self-Assembled Nanocage Incorporating Six Palladium(II) Ions" Angew.Chem,Int.Ed.37・22. 3142-3144 (1998)