1998 Fiscal Year Annual Research Report
電子スピン共鳴法による内因性一酸化窒素の分析と生体機能制御作用の研究
Project/Area Number |
10044107
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Section | Joint Research . |
Research Institution | Yamagata Public Corporation For the Development Of Industry, Institute Life Support Technology |
Principal Investigator |
吉村 哲彦 (財)山形県テクノポリス財団(生物ラジカル研究所), 化学第一研究部, 部長 (70271517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HENSLEY Kenn オクラホマ医学研究所, 研究員
KOTAKE Yashi オクラホマ医学研究所, 副主任研究員
藤井 敏司 (財)山形県テクノポリス財団(生物ラジカル研究所), 化学第一研究部, 研究員 (80271518)
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Keywords | 一酸化窒素(NO) / 電子スピン共鳴法 / ジチオカルバメート / ジチオカルボキシサルコシン / NOトラップ試薬 / フェニルブチルニトロン / NFkB |
Research Abstract |
一酸化窒素(NO)は、生体内で産生され、多彩な生理作用を発揮し、生体機能を制御している。NOの作用および機能を探るためには、生体試料中のNOを検出し、分析することが必要である。生物ラジカル研究所で開発されたNOトラップ試薬(DTCS)は、電子スピン共鳴(ESR)装置を使用してNOを測定する上で有用な試薬である。また、抗酸化物質・フェニルブチルニトロン(PBN)は種々の薬理作用を持っており、中でも核の転写囚子NFkBを阻害する作用が注目されている。 今年度は、DTCSの生体適用性に関するデータを得るために、DTCSのNFkBに対する効果を調べた。試行的段階であるが、水溶性鉄錯体を形成するジチオカルバメートであるDTCSはNFkB阻害性が低く、脂溶性鉄錯体を形成するジエチルジチオカルバメートは阻害性が高いという結果が得られた。更に詳細な効果を調べるために本研究は次年度も継続する予定である。 次に、細菌性髄膜炎に対するPBNの薬理効果を調べるために、エンドトキシンを大槽投与した髄膜炎モデルラットの脳組織中のNO測定を種々の条件下で行った。その結果、PBNをエンドトキシン投与前に投与した場合に、NO濃度を低減する効果を発揮した。また、PBNは用量依存性にNO濃度を低減した。これらの結果から、PBNは誘導型NO合酵素の誘導を抑制していることが明らかとなった。PBNは、過剰のNOによって惹起さる脳疾患の治療薬としての臨床応用も期待できる薬剤と考えられた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] S.Fujii,Y.Suzuki,T.Yoshimura,H.Kamada,: "In vivo three-dimensional EPR imaging of nitric oxide production from isosorbide dinitrate in mouse" American Journal of Physiology,. 274. G857-G862 (1998)
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[Publications] Y.Suzuki,S.Fujii,Y.Numagami,T,Tominaga,T.Yoshimoto,T.Yoshimura: "In vivo nitric oxide detection in the septic rat brain by electron paramagnetic resonance" Free Radical Research. 28. 293-299 (1998)
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[Publications] Y.Suzuki,S.Fujii,Y.Numagami,T,Tominaga,T.Yoshimoto,T.Yoshimura: "In vivo electron paramagnetic resonance spectroscopy of endogenously produced nitric oxide in the brain of septic-shock model rat" The Biology of Nitric Oxide. 6. 129 (1998)
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[Publications] Y.Suzuki,S.Fujii,T.Tominaga,T,Yoshimoto,T.Yoshimura,H.Kameda: "Electron paramagnetic resonance detection of nitric oxide in the brain during sepsis and meningitis" Proceeding of 2nd International Conference on Bioradicals. 146-148 (1998)
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[Publications] 藤井敏司,吉村哲彦: "内因性一酸化窒素のジチオカルバメート誘導体鉄錯体による捕捉検出〜検出法の基礎的検討〜" 磁気共鳴と医学. 10. 21-25 (1999)
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[Publications] 上野孝治,鈴木保宏,藤井敏司,吉村哲彦: "四塩化炭素肝障害にて発生した一酸化窒素のジチオカルボキシサルコシン鉄錯体による捕捉" 磁気共鳴と医学. 10. 16-20 (1999)
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[Publications] 吉村哲彦: "一酸化窒素(NO)-宇宙から細胞まで" 共立出版, 161頁 (1999)