2000 Fiscal Year Annual Research Report
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10044134
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
杉山 弘 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (50183843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 茂 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助手 (70143609)
杉本 昭子 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助手 (60143608)
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Keywords | 抗がん剤 / 抗生物質 / 塩基配列特異性 / DNAアルキル化 / グルーブバインダー / 分子認識 |
Research Abstract |
現在の遺伝子治療の問題点は、細胞内の遺伝子発現を外界から自在にコントロールする方法論が科学として未だ開拓されていないため、疾患の原因となる遺伝子発現を制御できないことである。既存の抗がん性抗生物質の中には遺伝子の特定塩基配列に選択的に結合し、DNAに対して原子レベルで選択的に反応するものが知られている。本研究ではこれらの選択性発現の分子認識のメカニズムを分子レベルで詳細に解析し体系化を試みた。さらにこれらの知見を再構成することにより、任意の塩基配列や構造を認識し、遺伝子発現を制御する分子を設計した。 1)小分子の塩基配列選択性に対する理論的解析と予測 小分子DNAへの結合はインターカレーションと副溝への結合の2つの様式が知られている。これらによるDNA結合において配列選択性があることが知られている。しかしながら理論化学的に、これまでこれらの選択性発現の分子機構についてはほとんど検討されていない。そこで、種々のDNA結合分子の配列選択性について量子化学的に検討し、その選択性にDNAとのHOMO-LUMO相互作用が重要な役割を果たしていることを検討した。さらに、その結果に基づき一般的な小分子の塩基配列選択性を予測するシステムを確立した。 2)任意の塩基配列を選択的アルキル化する分子の設計 小分子による原子特異的な反応をひきおこす分子認識機構の体系化と予測に基づいて疾病に特有のDNA塩基配列や構造を標的とする分子を設計し、その作用について評価した。抗生物質の骨格を改変し、新しい塩基配列や構造を認識する分子を合成した。
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[Publications] Tao,Z.-F.;Saito,I.;Sugiyama,H.: "Highly cooperative DNA dialkylation by the homodimer of imidazole-pyrrole diamide-CPI conjugate with vinyl linker"J.Am.Chem.Soc.. 122. 1602-1608 (2000)
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[Publications] Kawanishi,S.;Oikawa,S.;Kawanishi,M.;Sugiyama,H.;Saito,I.;Stredowski,L.;Wilson,W.D.: "Amplification of Pepleomycin-Mediated DNA Cleavage and Apoptosis by Unfused Aromatic Cations."Biochemistry. 39. 13210-13215 (2000)
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[Publications] Ikeda,S.;Saito,I.;Sugiyama,H.: "Metallo-bleomycin cleaves parallel-stranded DNA similarly to B-DNA"Tetrahedron Letters. 41. 3919-3922 (2000)
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[Publications] Oyoshi,T.;Sugiyama,H.: "Mechanism of DNA Strand Scission Induced by (1,10-Phenanthroline) Copper Complex : Direct DNA Cleavage Occurs Primarily due to 5' and 4'H Abstraction."J.Am.Chem.Soc.. 122. 6313-6314 (2000)
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[Publications] Zhang,Q.-M.;Miyabe,I.;Matsumoto,Y.;Kino,K.;Sugiyama,H.;Yonei,S: "Identification of Repair Enzymes for 5-Formyluracil in DNA : Nth, Nei and MutM Proteins of Escherichia coli."J.Biol.Chem. 275. 35471-35477 (2000)
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[Publications] Bando,T.;Iida,H.;Saito,I.;Sugiyama,H.: "Sequence-specific DNA Interstrand cross-linking by imidazole-pyrrole CPI conjugate"J.Am.Chem.Soc. (in press). (2001)
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[Publications] 飯田博一,杉山弘: "ピロールーイミダゾールポリアミドによるDNA塩機配列認識の進歩:ポスト・ゲノム時代の創薬"有機合成化学協会誌 第58巻10号. 13 (2000)