1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10044198
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊島 近 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (70172210)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中迫 雅由 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 講師 (30227764)
|
Keywords | 能動輸送 / 蛋白質結晶 / 膜蛋白質 / イオンポンプ / 大量発現 / 電子線結晶解析 / X線結晶解析 / ATPase |
Research Abstract |
本研究の目的は、P型イオンポンプでは最も構造研究が進んでいる筋小胞体カルシウム ATPase に関し、米国グループと国際共同研究を進め、能動輸送のメカニズムを構造面から理解しようとするものであった。X線結晶解析に適用しうる三次元結晶の作製に成功したため、本研究では将来の発展として、部位特異的変異体の利用を考えることに重点を置くことにした。そのため、アデノウイルスによる発現系を用いてカルシウム ATPase の大量生産に成功している、米国メリーランド大学イネシ教授との共同研究を中心に据えた。この目的のためイネシ教授が2度来日し、培養細胞からの抽出精製方法を検討した。この結果、これ迄に用いてきた色素カラムによる精製方法では、純度の点で不十分であることが判明したため、改良を検討している。これは、結晶の改善にもつながることと考えられる。また、カルシウム存在下の構造に関し高分解能でのX線結晶解析がほぼ終了したため、その結果をイネシ教授側が行ってきた、カルシウム結合に関与した部位特異的変異体を用いた実験結果の解釈に利用することが出来た。これらの実験は相補的であり、大変有意義な成果をもたらした。すなわち二つあるカルシウムの結合部位は膜面に対しほぼ同じ高さにあるが、結合は協同的であり、しかも2つの結合部位の性格は大きく異なっていることが、変異体の解析から判明したからである。この結果は共同の論文として、現在投稿中である。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] C.Toyoshima: "Structure determination of tubular crystals of membrane proteins.I. Indexing of diffraction patterns."Ultramicroscopy. (in press).
-
[Publications] K.Yonekura: "Structure determination of tubular crystals of membrane proteins.II. Averaging of tubular crystals of different helical classes."Ultramicroscopy. (in press).
-
[Publications] K.Yonekura: "Structure determination of tubular crystals of membrane proteins.III. Solvent flattening."Ultramicroscopy. (in press).
-
[Publications] 小川治夫: "チャネルの立体構造決定法 I"脳の科学. 21. 997-1004 (1999)
-
[Publications] 小川治夫: "チャネルの立体構造決定法 II"脳の科学. 21. 1121-1128 (1999)
-
[Publications] 豊島 近: "イオンチャネル、ポンプの構造と機能"蛋白質・核酸・酵素. 44. 557-565 (1999)
-
[Publications] 小川治夫: "膜蛋白質の構造解析"ファルマシア. 35. 33-38 (1999)
-
[Publications] Carafoli and Krebs: "Topics in Biological Inorganic Chemistry Vol.3"Springer. (in press)