1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10044202
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松島 俊也 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (40190459)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 和義 広島大学, 総合科学部, 教授 (20163842)
青木 清 上智大学, 理工学部, 教授 (70101029)
|
Keywords | 脳 / 行動 / 記憶 / インプリンティング / 基底核 / シナプス / 長期増強 / 鳥 |
Research Abstract |
(1)形の認知に関する行動学的解析 着色したビーズのように目立つ物体が提示されると雛鳥は強く固執し、繰り返し啄み行動を示す。もし水滴の報酬と連合すれば、啄み行動は数時間以上にわたり強化される。苦い味(罰)と連合すれば、一回の試行により選択的回避を学習する。さらに報酬も罰も与えられない場合、啄み行動は徐々に馴化する。この回避学習と馴化を指標として、啄む物体の形を雛がどのように認知するか、球形・円盤・T字形・三角形などを用いて解析した。その結果、球形と円盤を分別すること、円盤と楕円盤は分別しないこと、T字形と三角形は分別しないこと、円盤に対して馴化したのち三角形を提示すると分別するが、三角形に対して馴化したのち円盤を提示しても分別しないこと、などが見いだされた。対象の図形特徴(色・形・3次元構成)のうち、雛鳥は色を第一次の手がかりとして記銘し形は二次的であること、直線の縁(ふち)を持つ形は同じと見なされること、「どの図形特徴を記銘するか」は提示した物体の形により決まること、などが示唆された。 (2)大脳基底核ニューロンのプラトー電位の機序に関する神経生理学的解析 大脳基底核(LPO領域:哺乳類の被核・尾状核に相同)を破壊すると、雛鳥の回避学習の長期相のみが選択的に阻害されることが知られている。我々は既に基底核のスライス標本において、DNQX-感受性の興奮性シナプス応答が、dopamine D1受容体の活性化の元で長期増強を示すことを見いだした。長期増強はさらにシナプス入力の空間的・時間的同期を要求するが、同期の機序は不明であった。そこでLYによる細胞内染色をスライス・パッチ法と組み合わせ同定ニューロンの発火特性を解析したところ、spiny projection neuronおよびaspiny local interneuronにおいて、シナプス性興奮に続くプラトー電位(持続:0.3ないし数秒)が観察された。この電位はAP5の投与に依り可逆的に抑制され、NMDA受容体の活性化の結果生じる負の膜抵抗によることが示された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Dicke,U.,Roth,G.and Matsushima,T.: "Neural substrate for motor control of feeding in Amphibians."Acta Anatomica. 163. 127-143 (1999)
-
[Publications] Matsuura,A.,Ohno,T.,Matsushima,T.,Namikawa,T.,and Ishikawa,A.: "Delayed Development of reflexes and hyperactive locomotion in the spontaneous mutant "Waltzing" of the musk shrew,Suncus murinus."Experimental Animal. 48. 191-197 (1999)
-
[Publications] Yazaki,Y.,Matsushima,T.,and Aoki,K.: "Testosterone modulates stimulation-induced calling behavior in Japanese quails."Journal of Comparative Physiology A. 184. 13-19 (1999)
-
[Publications] Ishikawa,Y.,Kouga,K.,and Matsushima T.: "Slowly developing potentiation in goldfish retino-tectal synapses is masked by prior stimulation: an in vitro study."Comparative Biochemistry and Physiology A. 124. 81-88 (1999)
-
[Publications] 松島俊也: "心とは何か:雛鳥の学習の記銘内容と神経機構"日本比較内分泌学会ニュースレター. 83. 13-19 (1999)
-
[Publications] Yanagihara,S.,Izawa,E.,and Matsushima,T.: "Single unit activity in lobus parolfactorius (LPO: basal ganglia) of freely-behaving 2-day old domestic chicks during and immediately after one-trial passive avoidance training."Society for Neuroscience(Abstract). 25. 2158 (1999)