1998 Fiscal Year Annual Research Report
オーストラリアのサバンナにおける窒素の動態-塚を作るシロアリの役割
Project/Area Number |
10044205
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Section | Joint Research . |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安部 琢哉 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (00045030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ANDERSEN Ala CSIRO(オーストラリア科学産業研究機構), 主任研究員
HOLT John CSIRO(オーストラリア科学産業研究機構), 主任研究員
杉本 敦子 京都大学, 生態学研究センター, 助教授 (50235892)
山村 則男 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (70124815)
東 正彦 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (40183917)
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Keywords | サバンナ / オーストラリア / 窒素循環 / シロアリ-微生物共生系 / 捕食者 |
Research Abstract |
1998年12月にAustra1iaのQueenslarnd州Townsvilleの東方100キロメートルの所にあるCSIROの調査ステーションの近くのEucalyptusのサバンナにおいて、100×100mの調査区を設け、シロアリが地表に作る塚を地図上に記録した。この調査区には、Amitermes laurensisを主要種とする3種のシロアリが100の塚を作っていたが、そのおよそ半分の塚ではシロアリが死滅していた。シロアリの塚のすぐ周辺では植物の生育が悪く、来年度にかけて塚の周辺の土壌分析を行う。 シロアリ-微生物共生系によるセルロース分解については、サバンナに分布するTermes属のシロアリの消化管に見られるアメーバがセルロースを分解できることを明らかにした。シロアリによる窒素固定能については、高等シロアリでは高くなさそうであることが安定同位体分析からあきらかになりつつある。 調査区には、シロアリの主要な捕食者でかつ、塚の中に営巣するルリアリIridomyrmexが生息しており、その巣の分布と地表での活動状況を地図上に記録した。この調査区にはシロアリの塚を20ばかり占有する、ルリアリIridomyrmexのコロニー2つが分布しており、コロニー間にはなわばり関係が認められた。Amitermes laurensisの塚に営巣すると、ルリアリはシロアリの塚の構造を変え、シロアリを大量に食べていると思われるが、シロアリの塚に致命的打撃は与えているようには見えなかった。サバンナ生態系の窒素循環におけるルリアリの役割を定量化する方法を検討中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Miura,T;Maekawa,K.;Kitade,O.;Abe,T.;Matsumoto,T.: "Phylogenetic relationships among subfamilies in higher termites(Isoptera: Termitidae)based on mitochondrial COII gene sequences." Systematics. 91. 515-523 (1998)
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[Publications] Tayasu,I.;Inoue,T.;MIller,L.R.;Sugimoto,A.;Takeichi,S.;Abe,T.: "Confirmation of soil-feeding termites(Isoptera; Termitidae; Termitinae)in Australia using stable isotope ratios." Functional Ecology. 12. 536-542 (1998)
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[Publications] Sugimoto,Associate.;Inoue,T.;Tayasu,I.;Miller,L.;Takeichi,S.;Abe,T.: "Methane and hydrogen production in a termite-symbiont system." Ecological Research. 13. 241-257 (1998)
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[Publications] Sugimoto,A.;Inoue,T.;Kirtibutr,N.;Abe,T.: "Methane oxidation by termite mounds estimated by the carbon isotopic composition of methane." Global Biogeochemical Cycles. 12(4). 595-605 (1998)
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[Publications] Yachi,S.and Higashi,M.: "The evolution of warning signals." Nature. 394. 882-884 (1998)
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[Publications] 東 正彦: "「生物間相互作用と生物多様性」,岩波講座 地球環境科学 5" 岩波書店, 97-131 (1998)