1998 Fiscal Year Annual Research Report
タイ人に見られる魚臭症候群の原因となる遺伝子の解析
Project/Area Number |
10044224
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Section | Joint Research . |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鎌滝 哲也 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (00009177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 健一 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (60281820)
高橋 芳樹 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (80292019)
山中 佳都夫 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (20261323)
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Keywords | 遺伝病 / ノックアウトマウス / トリメチルアミン / クローニング / 代謝欠損 / 発現系 / 遺伝子治療 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
ヒト肝ミクロゾーム用いて、魚臭症候群の原因物質であるトリメチルアミン(TMA)のN-酸化酵素活性をヘッドスペースGC法により測定した。ヒト肝ミクロゾーム用いた速度論的解析の結果、TMAのN-酸化酵素活性は一相性を示し、Km値は46μMであった。熱処理(FMOは熱に不安定)あるいはFMOの阻害薬の添加によりTMAのN-酸化酵素活性は大きく低下した。これらの結果より、ヒト肝臓におけるTMAのN-酸化はFMOによって触媒されていることが示唆されたので、ヒトFMOを大腸菌で発現させて詳細に検討した。FMOには5種類(FMO1〜5)の分子種が存在するが、ヒトFMO各分子種の大腸菌での発現に成助した。発現させたFMOを用いてTMAのN-酸化酵素活性を測定した結果、FMO1およびFMO3がTMAのN-酸化に対する触媒活性を有することを見いだした。さらに、FMO1とFMO3について、速度論的パラメニタを算出した結果、Vmax/Km値で比較すると、FMO3の値がFMO1の値の110倍であった。したがって、ヒトFMO分子種の中でTMAのN-酸化への寄与が最も大きいのはFMO3であることが明らかとなった。成人の肝臓ではFMO3の発現量が最も多くFM01はほとんど発現していないので、実際のヒトの肝臓ではFMO3のみがTMAの代謝を担っていると考えられる。 タイにおいて集められた5人分の尿と血液サンプルを解析した。すなわち、尿中に排泄されたTMAを定量し、魚臭症候群患者を判定した。魚臭症候群患者の血液からゲノムDNAを精製し、FMO3遺伝子のエクソンおよび隣接するイントロンの塩基配列を決定し、変異を探索した。その結果、魚臭症候群と判定された患者のFMO3遺伝子上にアミノ酸の置換を伴う新規変異を見いだした。 遺伝子治療に向けて、そのモデルとして使用するためにFMO遺伝子を欠損したノックアウトマウスを作出するための第一段階として、ゲノムDNAライブラリーのスクリーニングあるいはLA-PCR法を用いてマウスよりFMO遺伝子を単離した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] K.Fujita,T.Kamataki et al.: "Establishment of a salmonella tester strain highly sensitive to mutagenic heterocyclic amines." Cancer Res.58. 1833-1838 (1998)
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[Publications] T.Kamataki et al.: "Oxidation of Histamine H_1 antagonist mequitazine is catalyzed by cytochrome P450 2D6 in human liver microsomes." J.Pharmacol.Exp.Ther.284. 437-442 (1998)
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[Publications] K.Fujita,T.Kamataki et al.: "High catalytic activity of human cytochrome P450 co-expressed with human NADPH-cytochrome P450 reductase in Escherichia coli." Biochem.Pharmacol.55. 122-127 (1998)
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[Publications] K.Fujita,T.Kamataki et al.: "In vivo detection of mutation induced by aflatoxin B_1 using human CYP3A7/HITEC hybrid mice." Biochem.Biophys.Res.Commun.250. 150-153 (1998)
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[Publications] K.Nakayama,T.Kamataki et al: "The UGT1A1^*28 allele is relatively rare in a Japanese population." Pharmacogenetics. 8. 357-360 (1998)
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[Publications] T.kamataki et al.: "A new deleted allele in human cytochrome P4502A6(CYP2A6)gene found in human liver subjects showing poor metabolic capacity to coumarin and (+)-cis-3,5-dimethyl-2-(3-pyridyl)thiazolidin-4-one hydrochloride(SM-12502)." Pharmacogenetics. 8. 239-249 (1998)
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[Publications] 鎌滝哲也他: "環境要因感受性を支配する遺伝的要因“環境と健康"" へるす出版, 245-29 (1998)
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[Publications] 鎌滝哲也他: "P450と多型 “呼吸器疾患の分子生物学"" 医学書院, 268-274 (1998)