1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10044256
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Research Institution | YAMANASHI MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
前田 秀一郎 山梨医科大学, 医学部, 教授 (10117244)
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Keywords | アミロイドーシス / トランスサイレチン / 疾患モデルマウス / 血清アミロイドP成分 / 標的遺伝子組換え / 胚幹細胞 / 家族性アミロイドポリニューロパチー / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
(1)無血清アミロイドP成分(SAP)マウスを用いたSAP機能の解析:無SAPマウス及び対照野生型マウスの腹腔内に、体重当り15mg/kgのLPSを投与し、24時間後にSAPの産生臓器である肝のmRNAを抽出し、ディファレンシャルディスプレイ法で解析した。この結果、無SAPマウスでは、インターフェロンで誘導される細胞増殖抑制作用を持つ既知の核蛋白質を規定する遺伝子の発現量が、対照野生型マウスに比べ増加していることを見出した。一方、英国のグループが作製した無SAPマウスでは、高い頻度で血中抗核抗体と全身性紅斑性狼瘡様の重度の糸球体腎炎を認めると報告されている。我々が作成した無SAPマウスにおいても抗核抗体価は顕著に上昇していたが、尿中の総蛋白質量は、対照野生型マウスと差異が無く、糸球体腎炎の所見を認めなかった。 (2)SAP及びTTRの遺伝性アミロイドーシス発症に及ぼす効果の解析:無SAPマウスと家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)のトランスジェニックマウスモデルとを交配させ、SAPを欠損し、FAPの病因となるヒトトランスサイレチン(TTR)Met30を合成するマウス株とSAPとヒトTTR Met30の双方を合成する従来のトランスジェニックマウスモデル株とを確立した。そして、9カ月齢のこれらマウス各6匹におけるアミロイド沈着を調べたが、ともに未だ沈着を認めなかった。また現在、家族性アルツハイマー病のトランスジェニックマウスモデル(APP)株と我々が確立した無TTRあるいは無SAPマウス株とを交配させている。今後この交配によって得られるTTR又はSAP欠損APP株と対照野生型APP株とにおける脳内Aβアミロイド沈着の開始時期や程度を、比較解析する計画である。 (3)FAPの新たなモデルマウス作製の試み:現在、劇症型FAPの原因となるヒトttrLys54全遺伝子を運ぶDNA断片の単離を試みている。単離できれば、これを用いてトランスジェニックマウスを作製する。同様に新たなモデルマウス作製の目的で、既に作製した内在性のttr遺伝子にFAPの病因となるMet30変異を持つ10カ月齢のマウス6匹についてアミロイド沈着を調べたが、未だ沈着を認めなかった。
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[Publications] Togashi, S. et al.: "An aggressive familial amyloidotic polyneuropathy caused by a new variant transthyretin Lys 54."Neurology. 53(3). 637-639 (1999)
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[Publications] Kato, G. et al.: "Neuron-specific Cdk5 kinase is responsible for mitosis-independent phosphorylation of c-Src at Ser75 in human Y79 retinoblastoma cells."J Biochem. 126(5). 957-961 (1999)
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[Publications] 前田秀一郎,玉置寿男: "家族性アミロイドポリニューロパチー発症の分子機構の解析。"脳神経. 52(1). 14-24 (2000)